物流施設の運営について人件費が増加しています。今、1番成長している物流系J-REITですがEC等の普及により物流業界は成長しており、人手不足などを背景に人件費の高騰が続いており千葉県の湾岸地域や関東内陸部の大型物流センター集積地などでは倉庫内作業員のアルバイト給与が時給1000円以上からスタートする例も少なくありません。こうした中、物流現場では今回の最低賃金改定ではさらなる賃金上昇が求められることとなり、北関東を中心に拠点を展開する倉庫会社では、「最低賃金未満の作業者の契約更改による人件費への影響は約0.5%、金額で月間約50万円の増額に上る」としています。


社会保険適用範囲の拡大

 社会保険適用範囲の拡大では、(1)勤務先従業員が501人以上、(2)雇用期間が1年以上、(3)週20時間以上の勤務、(4)1ヵ月の給料が8.8万円以上、(5)学生ではない――との条件を満たす従業員の厚生年金保険および健康保険への加入が義務化されます。

 この結果、対象となる企業では従業員の希望に応じて勤務時間の短縮などが対策として考えられるが、短時間労働者の増加は管理の煩雑化や採用費用の増加、引いては人件費全体の上昇に繋がり兼ねない。さらに、今回適用対象となる企業から500人以下の企業への人材の流出なども想定されています。
 

最低賃金の上昇、社保適用の拡大で人件費さらに増加

 10月に最低賃金が改定され、全国加重平均額は昨年から25円アップした823円となり、全都道府県で最高値の東京都は2015年の907円から932円へ、次ぐ神奈川県も905円から930円へそれぞれ引き上げられた。最低賃金はこの10年間で右肩上がりの上昇を続け、全国加重平均額は07年比で136円アップしたことになります。10月からは社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲も拡大し、倉庫内で多くの従業員を雇用する物流会社にとっては、人件費のさらなる上昇が重くのしかかります。

 人件費の上昇に対し、物流現場ではこれまで以上の合理化、効率化による経費削減が求められることになります。ある倉庫会社では「流通加工業務における短時間パートの有効活用や拠点間での人材の融通、作業平準化の努力を続けていく」とし、別の倉庫会社でも「拠点エリアごとに繁閑を見極め、それに合わせて人員を移動させるなど、適切な人員配置を引き続き行っていく」として人材の高度活用を図る。将来的には、AIやロボットといった省人化を支援する最新技術の実用化にも期待が寄せられています。

 AIやロボットの投入は結果的に物流会社にとってはコスト削減につながるため長期的に見れば良いアイデアだと思います。BTS型の物流施設(入居予定テナントの要望に応じて建築された施設)であれば入居時の賃料設定も強気に設定できると考えられます。