J-REITの投資口を購入する前にまず、REITの登場人物を把握しておく必要があります。

 J-REITの種類には投資するアセット(不動産、受益権)別にオフィス特化型、住居特化型、総合型などいろいろありますが登場人物についてはどのJ-REITも大差ありません。
 上場しているJ-REITの種類を見てみると○○オフィス投資法人とか、○○レジデンシャル投資法人という表記になっていますよね?これは、投信法第64条2に投資法人はその商号中に投資法人という文字を用いなければならない。とされているので○○投資法人と表現しているのです。

 これは株式を発行する会社が「〇〇株式会社」とほぼ同じ意味あいだということが分かっていただけたかと思います。ですので、「株式会社の株を買う = 投資法人の投資口を買う」ということは同じ行為であると言えます。

 それでは投資法人とはどのような役割りをもっているのかこう少し掘り下げてみたいと思います。
 投資信託及び投資法人に関する法律によれば投資法人とは、資産を主として特定資産に対する投資として運用することを目的として、この法律に基づき設立させた社団(投信法2条12)ということになっています。この投資法人が物件(アセット)を買い、運用するための器ということです。

 しかし株式会社だと獲得した利益に法人税や都民税、事業税がかかっていまいます。投資法人は株式会社とは違い会社法の管轄ではなく投信法の管轄になります。投資法人の特徴の一つに得た利益を一定の要件に従い配当すると法人税がかからないというものがあります。これを一般的に「導管制要件」と呼びます。

 証券会社のHPある証券用語などを検索してみても簡単に説明されているものが多いのですがこれは「租税特別措置法67条の15等」など複数の法律が組み合わさるのですが簡単にまとめると以下のとおりです。


【導管制要件(支払配当損金算入要件)の概要】   

○対象法人の要件(すべての要件を満たすこと)  
 
・内閣総理大臣への登録 
・次のいずれかに該当するもの 
①設立時における投資口の発行が公募であり、発行額の総額が1億円以上
②事業年度の終了時における投資口が50人以上に所有されている又は、機関投資家のみに
よって所有されているもの
・発行する投資口の50%超が国内募集である旨規約に記載されていること 
・会計期間が1年を超えないもの 
   
○対象事業年度の要件(すべての要件を満たすこと)   
・投資法人の能力の制限規定に違反していないこと(投信法63条能力規定) 
・資産運用業務を資産運用会社に委託していること 
・資産保管業務を資産保管会社に委託していること 
・事業年度末において同族会社に該当しないこと(1投資主グループで判定) 
・当該事業年度の配当可能利益の90%超の配当を行っていること 
・投資法人が他の法人の発行済株式又は出資の総額又は総額の50%以上に相当する数又は
金額の株式又は出資を有していないこと 
・投資法人が借入れを行ってる場合には、その借入が機関投資家からのものであること 

 大きく分けると設立時から満たしていないといけない条件と設立後毎事業年度判定しないといけない要件があるということです。この導管制を維持することで、投資法人は毎事業年度ごとに分配金を配当することになります。