J-REITの登場人物の紹介その6です。


 投資法人の計算書類、資産運用報告、金銭の分配に係る計算書、附属明細書は監査法人の監査が必要です。監査も一般企業の監査と同様に定期的に訪問し会計データの監査を行います。訪問するところは資産運用会社(AM会社)、会計の一般事務を投資法人から委託されている信託銀行や会計事務所(税理士法人等)です。


会計監査人の業務①会計監査


 会計監査人は計算書類等を監査し、内閣府令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければなりません。計算書類等の監査においては不動産業の会社と同様の部分を特に入念に監査します。


 1.減損損失の計上
 投資法人が事業年度をまたいで物件売却を行う場合、売却に係る意思決定は前事業年度に行われている場合が多いです。その場合、売却価格が帳簿価額より下回る場合は前事業年度において簿価を売却価格まで減少させます。簿価と売却価格との差額が「減損損失」という勘定科目で特別損失に計上されます。


 2.ヘッジ会計の有効性評価
 ヘッジ会計の有効性評価も重要な監査項目です。投資法人が借入金で資金調達を行う場合、金利変動リスク(金利の上昇または下降)を回避するためにスワップ契約を追加で付している場合があります。そのスワップ契約が有効であるかどうかを監査します。

 3.資産除去債務の計上
 資産除去債務とは、有形固定資産の取得、建設、開発または通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令または契約で要求される法律上の義務およびそれに準ずるものと定義されています。J-REITではそんなに計上しているところはありませんが、物件の構造内や土壌にアスベストやPCBなど土壌汚染物質が含まれている場合は除去することが義務付けられているためその除去費用相当額が正しく計上されているかなどを監査します。



会計監査人の業務②特定資産価格調査


 投資法人の計算書類、資産運用報告、金銭の分配に係る計算書、附属明細書は監査法人の監査が必要です。監査も一般企業の監査と同様に定期的に訪問し会計データの監査を行います。訪問するところは資産運用会社(AM会社)、会計の一般事務を投資法人から委託されている信託銀行や会計事務所(税理士法人等)です。



会計監査人の任期


 会計監査人には任期があり、任期は就任後1年経過後に最初に迎える決算期後に開催される最初の投資主総会の終結の時までとされています。 (投信法第103条)

 1.投資主総会において別段の決議がされなかつたときは、当該投資主総会において再任されたものとみなされます。

 2.会計監査人はいつでも投資主総会の決議によつて解任することができます。

 3.会計監査人は職務上の義務に違反しまたは職務を怠ったとき、会計監査人としてふさわしくない非行があつたとき、心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないときは役員会でも解任することができます。

 4.会計監査人は会計監査人の選任、解任若しくは不再任又は辞任について、投資主総会に出席して意見を述べることができます。


監査法人はJ-REITにおいて一般の株式会社の監査よりも透明性のある監査を行っています。

J-REITの仕組みバックナンバー

 J-REITの仕組み・投資法人スキーム
 J-REITの仕組み①投資法人
 J-REITの仕組み②アセットマネジメント会社(AM会社)
 J-REITの仕組み③プロパティマネジメント会社(PM会社)
 J-REITの仕組み④レンダー(金融機関等)
 J-REITの仕組み⑤一般事務委託会社(会計事務)
 J-REITの仕組み⑥一般事務委託会社(証券事務)
 J-REITの仕組み⑧資産保管会社