米国REIT市場の状況
20170407米国REIT

 3月上旬は米連邦準備制度理事会(FRB)高官が相次いで早期利上げに前向きな姿勢を示したことなどから、利上げペースの加速への懸念が拡がり、長期金利が上昇しました。これを受けてリートの資金調達環境の悪化懸念が強まり、中旬にかけて下落する展開となりました。その後は、米連邦公開市場委員会 (FOMC)で追加利上げが決定されたものの、 先行きの利上げ回数の見通しが据え置かれたことが好感され、反発することになりました。下旬は、米下院において米政権が掲げる医療保険制度の新法案の採択が中止されたことで政策実行力を不安視する動きが拡がり、上値の重い展開となりました。月末にかけては、 2016年10-12月期の実質国内総生産(確定値)や2月の個人消費支出が堅調な内容となり、持ち直す動きとなりました。

  4月の米国リート市場は、リートの業績拡大が継続していることや、比較的安定した資金調達環境が続くと考えられることから、戻りを試す展開になると予想されています。商業用不動産の市場環境は景気拡大を背景に良好に推移しており、主要リートの2017年1-3月期 決算では、リートの賃料収入は増加基調を維持する見通しである。金融政策面では、 FRBは緩やかなペースで利上げを続ける姿勢を維持していることに加え、トランプ政権の減税やインフラ投資など財政拡張策の実現性を巡る不透明感が強まっており、長期金利の上昇は抑制されると考える。一方、 リートの業績改善により資金調達時の信用力の向上が予想されることから、リートの資金調達環境の悪化は限定的になると予想されています。
 
 米国REITについては指標や利上げについても重要ですが、一番安心できるところはトランプ大統領はトランプタワーに代表される「不動産王」というところです。自身の企業の業種や業界は一番簡単に指示、協力者を集められることから米国の不動産業に悪影響を及ぼす政策は行う可能性が極め低いということです。株式市場は決して公平な市場ということに1番根本を忘れている気がるので私の米国REIT押しは今後も変わりません。


欧州REIT市場の状況
20170407欧州REIT

 3月上旬はユーロ圏の生産者物価指数が市場予想を上回ったことなどを受けて、長期金利が上昇してリートの利回り面での魅力が後退し、軟調な展開となりました。また、サービス業購買担当者指数(PMI)改定値や小売売上高などの経済指標が低調な内容となったことも悪材料となりました。中旬は、オランダ下院選において、与党が第一党を維持したことから政治リスクへの懸念が後退し、 反発する展開となりました。下旬はロンドンでテロ事件が発生したことや、英国が欧州連合(EU)へ正式に離脱通告をしたことなどから、投資家のリスク回避姿勢が拡がり、 上値が抑えられた。一方、月末にかけては、 欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めへの警戒感が後退したことなどから、堅調な推移となりました。
 
 欧州リート市場は、ユーロ圏でリートの良好な事業環境が続く一方、政治リスクが残ることや英国リートの先行き不透明感から、一進一退の値動きになると予想しています。 ユーロ圏では、景気回復を背景に不動産市 況は好調に推移しており、リートの業績は 底堅く推移すると考えられます。また、ECBは緩和的な金融政策を維持する方針を示しており、 良好な資金調達環境が続くと考える。英国では、EU離脱に備え、同国に拠点を置く金融機関を中心に事業所移転を検討する動きが拡がっており、オフィス需要の減少が懸念されます。また、物価上昇を背景に個人消費に減速の兆しがでており、商業施設のテナント需要の鈍化に対する警戒感から、 リートの業績の先行き不透明感が強まると考えられます。

 英国のEU離脱についてどのように影響が出てくるのかは以前として不透明だと考えている投資家が多いと思います。英国の評論家ですら意見が違うので当事者でない国々の投資家にとってはなおのこと投資には二の足を踏みますよね。出来る限り独国やベルギーなど英国以外の地域の物件を多数保有しているREITに投資するのが一番リスクの低い方法だと考えます。


豪州REIT市場の状況
20170407豪州REIT

 3月上旬は住宅価格指数が大幅に上昇したことから、豪中央銀行が住宅市場の引き締め策を導入するとの懸念が強まり下落しました。 その後も金属市況や原油先物価格が軟調に推移したことなどが嫌気され、弱含みで推移しました。中旬は大手インターネット通販企業がオーストラリアでの事業を拡大するとの観測を受けて、物流施設の需要が増加するとの期待が高まった一方、商品市況の下落を受けて関連企業の業績悪化への懸念が拡がり、一進一退の展開となった。下旬は産業施設に投資する大手リートが物流施設の新規物件を開発すると発表したことや、リートが投資する大型商業施設が新規に稼働したことを受けて、収益拡大への期待が高まり反発しました。 

  オーストラリアリート市場は、リートの堅調な業績や割安なバリュエーションを背景に底堅い展開になると予想しています。シドニーやメルボルンでは、景気回復を背景に好調な不動産賃貸需要が続く一方、物件の新規供給量が少ないことから、空室率の改善により賃料の上昇が続くと考えられます。ブリズベンでは、資源価格の上昇を背景に地域経済が持ち直しつつあることなどから、賃貸需要が回復に向かうと予想され、リートの業績は堅調に推移すると考えられます。また、 オーストラリアの不動産市場には投資利回りの高さに注目した海外投資家からの資金流入が続いており、不動産価格は強含みで推移することにより、リートの資産価値の上昇基調が続くと考えることができます。

 個人的な印象としては豪国は物流系REIT以外についてはパッとしないというのが率直な環境です。米国や欧州に比べ以外にインフラが発展していないので今からでも物流系企業は成長のチャンスが有ります。その物流系企業のオフィスや港湾周辺の倉庫など購入を検討して欲しい物件も多いことから上昇基調が続くという意見には賛成できます。

 
アジアREIT市場の状況
20170407アジアREIT

 シンガポールでは、上旬は株式市場や商品市況が軟調に推移したことが嫌気され下落しました。中旬は、政府が不動産取引に係る印紙税を引き下げたことなどから、投資家心理が改善し反発しました。下旬は、大手リートが産業施設の新規物件を開発すると発表したことなどが好感され、続伸しました。 香港では、上旬は香港の住宅価格指数が上 昇したことなどから、金融引き締めへの警戒感が強まり、軟調な展開となりました。中旬は、米国の利上げペースが緩やかになるとの観測が拡がる中、香港の緩和的な金融政策が継続するとの期待が高まり反発しました。 下旬は、オフィス系リートが新規物件の取得を計画しているとの観測が拡がったことなどから、リートの業績拡大への期待が高まり底堅く推移しました。
 
 アジアリート市場は、シンガポールでは、 リートの高収益物件への投資が相次いでいることから、業績が拡大するとの期待が高まり、底堅い展開になると考えられます。リートの多くは既存物件の平均投資利回りよりも高いことを条件に新規物件への投資を決定しています。そのため、追加投資を発表すると収益性の改善への期待が高まる傾向にあり、今後も物件投資の発表によって、リートの業績拡大への期待が続くと考える。香港では、オフィス市場の良好な需給環境が続いていることから、リートの業績は安定的に推移し、堅調な展開になると考えられます。 需要面では、中国本土系の金融機関やオン ラインショッピング関連企業、仮想通貨取引の関連企業などが香港でオフィスを拡張しています。

 米国や欧州は不安材料が有りますが、一番直近に限り不安材料がもっとも少ないグローバルREITはシンガポールREITだと思っています。リース指数が高め安定で推移しているというところが有り投資するにはタイミングが重要になりそうですね。