東京都内に住んでいるとサラリーマン大家さんと出くわすことも多いため今、オフィス等の不動産マーケットと同様に高騰していると思ってしまいますが、統計ベースで見ると賃貸住宅の売買取引額自体は減少していることはご存知でしょうか?

都市圏別・用途別の対前年平均変動率
20170702地価公示

【出典:国土交通省・地価公示】

 2017年の東京、大阪、名古屋の三大都市圏の住宅地の地価変動率(対前年比)は平均0.5%で昨年と同水準の変動率で上昇しました。東京圏はわずかながら上昇幅が拡大しましたが、名古屋圏では前年から上昇幅が縮小し、大阪圏は横ばいになりました。
 商業地は、三大都市圏平均で上昇が続き、東京圏と大阪圏で上昇幅が拡大、名古屋圏は上昇幅が縮小しました。
 地方圏では、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)が住宅地、商業地とも上昇幅が拡大し、その他の地方圏は、住宅地と商業地ともに地価の下落が続くものの、下落幅は縮小していることが分ります。

1 物件あたりの取引額の推移(圏域別)
201707021物件当たり取引額


1 物件あたりの延床面積の推移(圏域別)
201707021棟当たりの面積
【出典:みずほ信託銀行・不動産マーケットレポート】

 2016年度における賃貸マンション等の売買取引額は約3,451億円で、前年度比26%減となって。取引件数の減少に加えて、東京圏に所在する物件の取引件数割合の低下や面積規模の小型化などによる1 物件あたりの取引額低下が、取引額全体の減少に影響していると考えられます。

 みずほ信託銀行では1 物件あたりの取引額は、東京圏が前年度比横ばいで推移する中、地方圏は上昇するものの大阪圏と名古屋圏で大きく低下していると分析しており、その背景には2013年度以降取引が活発化したことによって、投資対象の利回りの低下や品薄化が進み、2015年度以降は取引件数が減少基調にあると考えられます。そのような状況下で、取引される物件において、エリアの拡大、面積の小型化、価格の小規模化が進行している状態です。つまり利回りを追及していくと規模を小さくするか、価格の低い地方物件にトレンドが移っているということだと思います。