J-REIT、インフラファンドの器となるSPCである投資法人はその資産の運用及び保管に係る業務以外の業務に係る事務のうちいくつかは他の者に委託して行わせなければなりません。(投資信託及び投資法人に関する法律第百十七条)
 委託しなければならない事務のうち投資主名簿、新投資口予約権原簿に関する事務、投資証券・新投資口予約権証券及び投資法人債券の発行に関する事務、計算に関する事務について委託先に支払う金額は損益計算書の「一般事務報酬」に含まれています。
 機関の運営に関する事務の委託費用も含まれる場合も有りますが機関の運営については外部委託せず、資産運用会社(AM会社)が行っているケースも多く存在しています。そのような場合、機関の運営に関する事務の委託費用は「資産運用報酬」に含まれている場合も有ります。


①計算に関する一般事務報酬

 投資法人は会計事務委託については信託銀行や税理士法人に委託しています。信託銀行に支払う一般事務報酬には決まりは有りませんが、資産規模に比例する報酬テーブル等により決まっています。また期中に取得・譲渡した物件がある場合は別途加減算していく契約が多いと考えられます。信託銀行の立場としては帳簿の作成・保管が重要になりますので一般事務報酬は運用報酬のように利益に比例にはなっていません。

 税理士法人に支払う一般事務報酬は入力される仕訳数が基準となることが多いです。物件1棟でもテナント(入居者)数の多い物件の方が少ない物件よりも入力する仕訳が多くなるからです。

 また、業務によって固定額となっていることもあります。例えば固定資産台帳の作成は50万円、償却資産申告は30万円等となっている場合も有ります。税理士法人の行う会計の一般事務は自身で仕訳を入力する場合は少なく多くの場合、信託銀行が入力した仕訳をチェックすることが業務の基本となっています。そのため期中でのチェックを投資法人が税理士法人に「どの程度まで依頼するか」によって投資法人が負担する一般事務報酬は変わってきます。


②投資主名簿、新投資口予約権原簿に関する一般事務報酬

 投資主名簿、新投資口予約権原簿に関する一般事務報酬については金額の算定方法については有価証券報告書に記載が有ります。「【手数料等及び税金】 」という項に「(手数料明細表) 」に細かい明細が有ります。この投資主名簿、新投資口予約権原簿に関する一般事務報酬については信託銀行ごとに大差はほとんど有りません。ただ、その投資法人の市場投資口数に依存することが多いため、PO、投資口分割、合併などにより投資口数が増えた場合はそれに比例して費用が増えるということになります。

③投資証券・新投資口予約権証券及び投資法人債券の発行に関する一般事務報酬

 この投資証券・新投資口予約権証券についての事務は投資主名簿を管理する信託銀行や証券会社が、投資法人債券の発行に関する事務は財務管理人については信託銀行を含むレンダーが行うケースが多いため「融資関連費用」等の営業外費用に含まれていることが一般的です。