J-REIT、インフラファンドの器となるSPCである投資法人はその資産の運用及び保管に係る業務以外の業務に係る事務のうちいくつかは他の者に委託して行わせなければなりません。(投資信託及び投資法人に関する法律第百十七条)

 損益計算書の販売費及び一般管理費に必ず表示されている科目のうちの一つです。資産保管業務はJ-REITもインフラファンドも信託銀行に委託していするため信託銀行にとっては大きな収入源になっています。

 報酬の基準は総資産を基準とする「基準報酬額」を基準としています。これは一般事務報酬と同様に有価証券報告書に計算方法について記載が有ります。どこの投資法人も「合計残高試算表上の総資産額×〇%÷12=資産保管報酬(月額)」となっています。これの6ヶ月分が毎期費用計上されることになります。(1年決算を採用している場合は12ヶ月分が計上)

 合計残高試算表上の総資産額×〇%÷12は一般事務報酬と同様の計算方法ですがその料率は一般事務報酬の料率よりも低い数値が採用されています。

 資産保管会社は信託銀行が受託していますがその料率をどのように決めているかという点ですが、報酬体系は一般事務報酬と抱き合わせで検討されている場合が多いです。一般事務を委託する信託銀行と資産保管事務を委託する信託銀行を分けた方がその報酬を交渉する分には投資家にとっては有利だと思います。しかし、J-REIT、インフラファンドも一般事務と資産保管事務の委託先はほとんど同じ信託銀行です。投資法人を運用する資産運用会社(AM会社)にとっては交渉先や書類のやりとりについてまとめた方が効率的なので同じ信託銀行に委託するということが通例です。
 
 実際は通帳、印鑑、受益権証書などの保管ですから簡単に言うとただ持っているだけで高い料率は取れないですからね。それでもJ-REIT、インフラファンドの投資法人スキームでは重要な役割をこなしていることは間違いありません。