一般的にオフィスビルは市場(マーケット)賃料の増加やバリューアップ工事等によりテナントの入居条件として賃料を高く設定できたり、賃貸借契約の更新時に賃料の増加交渉がしやすくなるという特徴があります。

 バリューアップ工事とは既存の設備や建築物について性能を上げるための工事で壊れたものの修理や維持・メンテナンス等の修繕工事とは別ものです。J-REITでは共用部の改修工事やエントランス工事などが多いです。

 具体的な工事内容はエレベーターの改修工事や、オフィスビル共用部分にあるトレイの水洗設備を新しいものにしたりという工事です。他にもエントランスの共同ポストを新しくしたりすることにより以前よりも機能的にしたり、利便性を高めたり、あるいは耐用年数を伸長させるような工事を行います。これには入居テナントの満足度を向上させることで賃貸借契約の更新させたり、更新時の賃料増額などを意図しています。

 オフィスはテナントが退去した場合に次のテナントが決まるまでの期間がレジデンスに比べて長めであるためレジデンスと比べるとリスクが高いと一般的に言われています。

 オフィスの場合、テナントとの賃貸借契約書にはテナントからの解約申出は「賃貸借更新日前6ヶ月~1年前の予告」と記載されているケースが多いです。これによりAM会社はテナントから解約通知を受取ってから退去日までの間に新規テナントのリーシング(募集活動)を行います。新規テナントは3ヶ月~6ヶ月程度で成約に至る場合が多いです。

 また、オフィス系REITの賃貸事業収入の推移は一定であることが多く、稼働率に至っては90%台後半を維持している投資法人が多数です。2013年あたりから好景気に乗って上場するREITが増えましたが、リーマンショック前から上場していたREITは運用物件数も多いため稼働率が伸びない物件については優良な他の物件でカバーしているためポートフォリオ上の安定性を高めています。