タカラレーベンのグループ子会社であるタカラPAG不動産投資顧問㈱が資産の運用を受託する「タカラレーベン不動産投資法人」が発行する投資口について、2018年6月25日に上場承認されました。

 この投資法人は、タカラレーベン、PAGインベストメント・マネジメント㈱、㈱共立メンテナンス及び㈱ヤマダ電機をスポンサーとして、オフィス・住宅・ホテル及び商業施設等を中心に投資を行う総合型J-REITを目指しています。
 資本構成はタカラレーベンが60%でメインスポンサー、PAGインベストメント・マネジメント㈱は30%、㈱共立メンテナンス及び㈱ヤマダ電機がそれぞれ5%づつでAM会社の株式を保有していることからタカラレーベンが運用を主導することになりそうです。

レジデンス中心の総合型REIT?

 資産運用会社の株主構成はタカラレーベン㈱が過半数以上の株式を取得していることからタカラレーベン㈱の経営方針に左右される投資法人ということになります。タカラレーベン㈱の決算短信等のセグメント売上を確認すると不動産販売事業79,555百万円、不動産賃貸事業5,522百万円、不動産管理事業4,299百万円となっており、実際に新築マンション分譲、新築戸建分譲を行っています。得意としているアセットはレジデンスなので新築に近いレジデンスを投資法人に提供することになりそうです。
 ㈱共立メンテナンスは社員寮の運営などを中心にホテル運営やヘルスケア施設の運用も行っているため物件の管理的なノウハウを有していると推察できます。㈱共立メンテナンスからはホテルの物件提供が期待できるのではないか?と思います。
 もう一つ触れておきたいところはPAGインベストメント・マネジメント㈱です。ホームページを見ても非常にショボいため信用できるのか心配になりますが、前身はセキュアード・キャピタル・ジャパン㈱という名称で不動産私募ファンドの老舗運用会社です。ここは運用会社としてのノウハウ提供はあると思いますが、自身の私募ファンドの「出口」としてJ-REITを当てにしている可能性が高いと感じます。スポンサーの構成を考えるとオフィスビルを取得するパイプラインとしてはPAG経由での取得になると考えられます。


ヤマダ電機はJ-REITに本気なのか?

 タカラレーベンは先にインフラファンドの上場を成功させており、インフラファンドではマーケットリーダーとして活動しています。しかし、スポンサー自体の事業は不動産事業とり分けオフィスビルの販売よりも賃貸が中心です。ここはやはり、スポンサーとしての物件の開発力については疑問を感じます。私の勤めている会社でもタカラレーベンから物件の紹介があったという話はついぞ聞いたことが無いので競争力の高いオフィスビルを投資法人が取得できる可能性は低いと考えざる負えないと思います。
 反対に期待できるのは㈱共立メンテナンス、㈱ヤマダ電機の存在です。特にヤマダ電機は母体も大きく常に競争に晒されている小売業界に属しているため利益拡大のために不動産業にも今後、力を入れていく可能性は大いにあると思います。ヤマダ電機本体としてもエアコン等の電化製品を購入すると取付工事などを行うサービスもあるため修繕工事や原状回復工事については興味がありそうですね。とはいえ一番の期待はイオンリートのように日本全国に展開しているヤマダ電機の店舗だと推察できます。ヤマダ電機は本業のライバルであるビックカメラやヨドバシカメラ等に比べると売上に対してはかなり貪欲でコスト削減については非常にシビアに判断します。これらの各店舗から得られる変動賃料は大きく分配金に貢献してくれると思います。


収益性の高い物件は㈱共立メンテナンス、㈱ヤマダ電機からの物件取得

 以上のことから㈱共立メンテナンスからはホテルを㈱ヤマダ電機から商業施設を多く取得することができればこの投資法人は配当金の上昇が期待できるのではないかと思います。しかし、両社とも資産運用会社の出資割合は合計しても10%なので影響力が小さいという点から成長性は潜在的にはあるもののその成長は緩やかになると考えられます。