投資法人の損益計算書の営業外収入の欄にまれに表示されるものとして未払分配金戻入があります。これは計上された期の利益となるので単純に考えると分配金の算定根拠となるのでプラスなのですが、投資家としてはこれが計上されることには注意が必要です。

分配金の除斥期間って?

 J-REITやインフラファンドには各投資法人の投資法人規約において分配金の除斥期間が設けられていることが一般的です。(多くは10年)その除斥期間前に分配金を受け取ってい無い場合は投資法人上では未払分配金として処理されており、これが時効期間を過ぎた場合に未払分配金から未払分配金戻入として営業外収入計上されるというわけです。
 投資家にとっては分配金を得ることを目的にJ-REITないしインフラファンドに投資する方が多いと思いますが、この分配金を受取そびれるということは大きな損失になると思うので分配金が自身の分配金受取口座にしっかり入金されているかどうかについてはしっかり確認する必要があります。多くの投資家さんは証券会社の証券口座または銀行口座にて分配金を受け取る設定にしている方ばかりだと思いますが。まれに郵便局の窓口で受け取ることを選択している場合、または、投資主優待で受け取ることにしている場合は要注意です。未払分配金戻入が計上される1番のケースは郵便局の窓口で受け取ることを選択しておきながら受取りにいかない方がいらっしゃるという場合です。比較的ご高齢の投資家の方に多いので単純に忘れているまたは、投資家さんがお亡くなりになっており、その後の手続きが滞っているという場合が考えられるので親御さんがJ-REITやインフラファンドに投資している場合は1度確認されてみることをお勧めします。

 投資法人の投資主名簿、新投資口予約権原簿に関する一般事務を受託している信託銀行が分配金を受取通知を連絡しているのですが、投資家さんが転居しており連絡が届かないというケースも少なくないのでこの点についてもご注意ください。


親切なAM会社とそうでないAM会社

 分配金の除斥期間が近づいてくると親切な投資法人であれば「時効消滅分配金のお知らせ」というような名称でプレスリリースを開示し受取りを促してくれるところもありますが、なんのプレスリリースもしてくれない投資法人も存在します。これは資産運用会社(AM会社)の運用スタイルによるのですが個人的には投資家さんに対するモラルの問題であると思っています。また、上記では分配金の時効消滅期間は多くは10年と記載しましたが、一部は事務処理の円滑化という名目で3年と短い期間を設定しているところもあります。実務的には時効期間を短くしていも事務処理の円滑化は図れません。というか、分配金関連の事務は信託銀行に委託しているため手間は有りません。委託報酬が削減できるということもありません。