「不動産賃貸収入」はJ-REITの基本である投資法人が賃貸している物件から得られる賃貸収入です。大きく分けて賃料と共益費の2点から構成されています。これはオフィスビルであろうとレジデンス(住居)、商業施設、物流施設、ホテルであろうとこの点は同様です。

アセット別の賃貸収入の内容

 レジデンスの場合は一番腑に落ちるところだと思いますが、皆様も賃貸マンション、賃貸アパートにお住いの方も多いと思います。月々支払う家賃は賃料と共益費込みの金額を払っていませんか?。これが投資法人の収入つまり我々投資家が得る分配金の核となる部分です。

 オフィスビルはほぼ共益費は発生せずに賃料部分のみで構成されているケースが多いです。事務所賃料と管理されています。事務所賃料は固定費のみでレジデンスと同様に賃料は定額です。ごくまれに固定賃料プラス変動賃料が発生するオフィスビルも存在します。レジデンスよりもフリーレント期間が3ヶ月~6ヶ月程度設けられることが多いです。

 物流施設も事務所賃料または倉庫賃料として区分管理されています。これもオフィスビルと同様に固定賃料のみで構成されていることが一般的です。物流施設も入居の際に即賃料が発生するケースは少なく、フリーレントとして3ヶ月ないし6ヶ月が設定されることが一般的です。
 物流施設は開発の段階でテナントを見つけているケースが少なく有りません。その場合はフリーレント期間は設けられず、テナントの入居と同時に賃料が発生するケースも存在します。

 商業施設の場合も事務所収入または施設使用料収入として区分管理されています。固定賃料のみか固定賃料プラス変動賃料で構成されているケースが混在しています。変動賃料が導入されている物件は店舗の収入からテナントの運営コストを差し引いて計算されます。
 商業施設の場合はテナントが退去するケースがオフィスビルやレジデンスと比べると圧倒的に少ないです。ほぼ投資法人のスポンサーや関連会社が入居することになるので退去リスクは他のアセットよりも少ないと言えます。

 ホテルの場合はオフィスビルや物流施設と大きく違います。ホテルの場合は投資法人はオペレーターというホテルの運用会社に転貸しているのでオペレーターから賃料を得ることになります。オペレーターはホテルの運営により宿泊者から得た収入から自分たちの取り分を引いて投資法人に賃料を支払っています。主な特徴は2点です
 オフィスビルやレジデンスはテナント・入居者の収入なんて入居の際の与信で関わる程度ですが、ホテルの場合は賃借中のオペレーターのホテルの運用成績がモロに賃料として反映される点です。
 もう1つはオフィスビルや商業施設よりも変動賃料が導入されているケースが圧倒的に多いという点です。夏休みや年末年始のホテル予約は宿泊料が高いですよね?。ホテルが活況になる行楽シーズンは変動賃料が高く、春や秋など行楽シーズンとは外れた時期に変動賃料は低くなります。


賃貸収入の発生基準は?

 賃料の発生基準は前家賃となっていることが一般的です。前家賃とは今月中に来月分の家賃を支払うという契約になっているということです。投資法人の決算短信や有価証券報告書の貸借対照表に「前受金」として金額が記載されていると思いますが、その記載された金額が来月以降の賃料になります。(賃料以外が含まれていることも有ります。)これはオフィスビルもレジデンスも同様なので皆様がお住いの賃貸マンション・賃貸アパートと同じだと思って頂ければ良いと思います。

 商業施設やホテルの変動賃料の場合は後払いになります。これは変動賃料は商業施設は店舗、ホテルの場合はオペレーターの収入から差し引くコストを計算しなければならないため、1ヶ月ないし2ヶ月遅れて振り込むという後払い方式が一般的です。変動賃料は遅れて投資法人に支払うことになるので、投資法人の決算短信や有価証券報告書では貸借対照表の「営業未収入金」として計上されることになります。