JCRが2018年7月25日にJ-REITが発行するハイブリッド証券に対する考え方についてを公表しています。そもそもハイブリッド証券は、資本と負債の両方の特性をあわせ持つ資金調達手段として用いられているものです。近年、事業法人や金融法人の資金調達手段および運用手段として発行体や投資家の裾野が広がり、ハイブリッド証券による資金調達額は年間3兆円を超えるまで拡大しています。

 J-REITの市場においても、以下の事情を背景に、 資金調達手段としてハイブリッド証券を検討する可能性が出てきています。投資法人であるJ-REITは、基本的に利益の全額を配当で投資主に分配するため内部留保の概念がなく、 物件取得による外部成長のための資金については、常に外部からの調達を必要とします。

 投資法人の主な資金調達手段は、 ①公募増資(投資口の発行による資金調達)②金融機関からの借入れ③投資法人債の発行―であり、なかでも調達の中心となるのが①公募増資です。②や③の有利子負債による調達は、相対的に少額にとどまるケースを除いて①による資本の増強と合わせて行われることが一般的であり、LTV (Loan to Value)指標の目線などを通じ、投資法人全体の資産総額に対する有利子負債の比率が十分にコントロールされていることが求められるためでです。

 しかし、市況の悪化により投資口価格が低迷する状況が続くと、既存の投資口の希薄化に対する懸念から公募増資による資金調達環境は悪化し、J-REITの資金調達力を弱めてしまいます。2017年には、投資口価格の低迷により NAV(Net Asset Value)倍率が1倍を下回る水準まで低下した J-REITが多く見受けられ、この結果として市場全体の公募増資による資金調達額は2016年と比べて2割減少した。 こうした経験を通して、J-REITの投資口マーケットの低迷期においても、LTVを適切にコントロールしつつNAVの希薄化を回避する資金調達手段、換言すれば信用力と投資主価値を両立可能な資金調達手段として、ハイブリッド証券の活用への関心が高まっていると考えているようです。

 JCRではこれまで事業法人・金融法人(企業)が発行する多くのハイブリッド証券(企業ハイブリッド) に資本性評価と格付付与を実施してきたましたが、J-REITが発行するハイブリッド証券(J-REITハイブリッド)についても今後、積極的に関与していく方針としています。J-REITハイブリッドの資本性評価と格付付与については、企業ハイブリッドに適用されるものと同じ格付方法、すなわち「ハイブリッド証券の資本性評価」に基づき実施することになるようです。

 JCRは小難しく記載していますが結局のところハイブリッド証券とは劣後債のことです。一見するとほとんど普通の投資法人債と変わりませんが同じ投資法人が発行する同じ期間の投資法人債と比較すると目を引くのが、高い利回り。債券と同じように見えても、実は投資口としての性格を一部持っているという証券の特性に起因します。投資法人に何かあったときの返済順位が低くなっています。また優先出資証券など、より投資口に近い性格のものでは、配当を受けとることができない場合があります。また、投資口や投資法人券などと違い取引市場が小さいため、価格のぶれが大きくなったり、売買の自由度が低かったりすることについては、注意が必要です。