2018年6月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20180829NOI利回り推移
20180829NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。日本ビルファンド投資法人、日本プライムリアルティ投資法人のNOI利回りは安定していることが分かります。大規模オフィスビルを運用しているオフィス系J-REITについての安定感はレジデンス系J-REITとほぼ同様の安定感があるということが分かると思います。ジャパンエクセレント投資法人については前期から上昇に転じていることからリーシング・コスト削減等の施策が上手くいっているのだということが分かります。これは日本リート投資法人についても同様のことが言えます。マリモ地方創生リート投資法人は2018年6月期は前期よりも減少してしまっています。地方物件が運用主体の投資法人なので当然利回りは高いのですが、7%台をキープしたかったところだと思います。ホテル系J-REITよりも利回りが高いということになれば個人投資家さんを中心に人気が集中しそうなイメージですが・・・。
 また、さくら総合リート投資法人は前期までは2月・8月決算でしたが、6月・12月決算に変更になっています。こちらはオフィスビルの稼働率が良いので決算期の関係上2018年6月しか表示していませんが上場来上昇し続けています。最後にインヴィンシブル投資法人ですが、ここは上期・下期で利回りが大きく違います。夏休みによる需要増加を取り込んでいることは良いのですが、決算期が6ヵ月決算を採用しているため下期の利回りが増加する傾向にあります。ちなみにジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人は1年決算を採用しているためこの懸念は有りません。


・当期純利益率
20180829当期純利益率推移
20180829当期純利益率推移2

 6月・12月決算の投資法人については当期純利益率をベースに見るとやはり不動産等売却益を多く含んだインヴィンシブル投資法人が大きく上昇しています。ここは前期からレジデンスやオフィスビルを大量に売却していっているため今後はレジデンス・ホテル中心からホテル特化の運用スタイルになっていくものと考えられます。2017年12月期に6棟、2018年6月期にも6棟売却しています。これは最近の不動産マーケットも関係していますが、インヴィンシブル投資法人の場合はそもそも築年数が古い旧スポンサー時代の代物が多数なのでいつでも売りたかったのではないかと推察します。ここで一気に処分に走っていることから、今の不動産バブルについて一番警戒している投資法人は実はここなのかもしれません。
 日本ビルファンド投資法人もNBF日比谷ビルを売却しており、383百万円の売却益を計上しています。ジャパンエクセレント投資法人は海老名プライムタワーを売却していますが、売却損165百万円が発生してしまっています。ジャパンエクセレント投資法人は決して悪い物件を抱えている訳では無いのですが、どうも全体的に動きが遅い印象を受けます。そのため物件の高値掴みをしやすい傾向にあるためある程度思い切った判断も必要なのではないかと思っています。