大和ハウスリート投資法人が運用中の物件Dプロジェクト新三郷のテナントである㈱アサヒセキュリティから賃料減額確認訴訟の提起を受け結果6%の賃料減額を受け入れることになりました。

訴訟の経緯

 Dプロジェクト新三郷の信託受託者である三菱UFJ信託銀行は2014年5月1日以降の賃料について現行賃料比約16%減の金額であることの確認を求める訴訟の提起を受けていました。投資法人は現行賃料は相当なものと考え、裁判手続きにおいて信託受託者を通じてその旨を主張していましたが、2017年7月24日付で東京地方裁判所より、2014年5月1日以降の賃料につき現行比約6%減額した金額とする旨の第一審判決が言い渡されました。
 この判決について大和ハウスリート投資法人は2017年8月4日付で東京高等裁判所に控訴しましたが、2018年4月11日付で東京高等裁判所より、2014年5月29日以降の賃料について現行比約6%減額した金額とする旨の控訴審判決が言い渡されました。
 さらにこの判決に不服な大和ハウスリート投資法人は2018年4月18日酒で最高裁判所に上告しましたが、2018年10月2日付で上告が棄却されました。


分配金への影響

 投資法人は2018年2月期末までの過年度を含めた影響見込み額を訴訟損失引当金として既に計上しており、2018年8月期、2019年2月期の運用状況の予想において、影響見込額を訴訟損失引当金として織り込んでいるとしています。これらにより2018年8月期及び2019年2月期の運用状況への影響は軽微であることを理由に予想の変更は無いとしています。
 私の本職はAMなので個人的には大和ハウスリート投資法人の見方です。恐らく賃貸借契約書の不備による認識の違いではないかと感じるのですが、今のところは他のテナントに影響していないようなので一安心ですね。

 J-REITの場合、AMは各テナントと締結する賃貸借契約書を締結する時に一応確認しますが、多くの場合はコンプラ担当がチェックした定型のフォーマット契約書を使っており、恐らく外部の弁護士も確認しているので契約書の記載ミスとは考えづらいのですが、賃貸借期間により賃料が増額していくような個別性の強い契約書になっていると弁護士チェックを通さない場合もあるためテナントとの理解に齟齬が生じる可能性が出てきます。Dプロジェクト新三郷は1テナントなので出ていかれたら新テナント誘致までに空室が生じることになるので6%の減額で済んで良かったと思うべきなのだろうか。