日本不動産研究所から2018年秋の店舗賃料トレンドが公表されているのでご紹介したいと思います。
 URL 店舗賃料トレンド2018年秋

20181117日本不動産研究所店舗賃料トレンド2018秋

 インバウンド消費がドラッグストア、ディスカウントストア、百貨店の売上を牽引している一方で、自然災害や景気要因等による訪日客数の変動がインバウンド消費に与える影響に注意が必要としています。銀座や表参道などの情報発信力があるエリアではポップアップストア、ショールーム、そのほかのエリアではドッグスストア等の出店が増加傾向にあります。しかし、ファッションは引き続き弱く、ファストファッションの旗艦店の退店が目立っています。

 東京都内の銀座エリアではH&Mが退店するなど、2007年頃から賃料を牽引してきたファストファッションのトレンドが弱くなってきており、大箱のテナント候補が限定的になっているため賃料は高止まりを維持する一方で先行きは不透明となっています。
 渋谷区では1Fの募集賃料は安定傾向にあるものの募集件数は2017年以降低下傾向で200件を下回っており、パルコの閉館に伴い駅から離れた外郭部では厳しい状況が続いているようです。駅から離れた公園通り・神南エリア周辺はエリアの弱さが継続しています。

 名古屋(栄市)は1Fの賃料トレンドは上昇傾向にあり坪25,000円となっています。ラグジュアリーブランドが出店している大津通が最も高い賃料水準を形成しています。最近ではインバウンド需要の拡大に元内、ドラッグストアの都市型旗艦店の出店が見られています。募集件数は中上層階の割合が多く路面の広がるエリアの中上層階の弱さを露呈しています。名駅エリアでは(仮称)名古屋三井ビルディング北館が2021年1月に竣工予定となっており、地下1階から地上3階は商業施設、5階から19階はオフィスビルとなる予定となっています。

 大阪(心斎橋)では募集件数が大幅に増加しているようですが、心斎橋商店街の募集物件は非常に少なく、成約情報では商店街の一人勝ちで心斎橋の賃料上昇を牽引しています。インバウンド増加により裏手物件が増えているようです。今後の見通しとしては若干ネガティブで心斎橋筋商店街の賃料牽引役であるドラッグストアが担っていますが、好不調も出ているようで賃料は上限に達していると見ています。

 福岡(天神)では1F以外及び全フロアの公募賃料は、2018年第1四半期で若干上昇したものの、概ね横這いです。また、募集件数は減少傾向で推移しています。1Fの賃料構成では坪15,000円~20,000円の割合が最も多くなっています。住所別平均賃料では商業集積の高い駅至近の天神1~2丁目の水準が高くなっています。博多駅エリアに商業集積が高まっていることもあり、天神エリアは押され気味ですが、各施設増床やリニューアルによる対抗策のほか、複数の再開発計画のリリース等、今後事業進捗に応じた将来性が期待されています。