2018年11月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20190202J-REIT_有利子負債利子率
20190202J-REIT_有利子負債利子率2

 5月・11月決算投資法人の有利子負債利子率は大きな変動はありませんでした。レンダーから借入る際の金利は今後も低めの水準で推移していくことが予想されます。DSCRベースでみても大江戸温泉リート投資法人が4期連続で16.5%と高い、DSCR値で推移していることから利息負担割合は低い水準です。大和証券オフィス投資法人、ユナイテッド・アーバン投資法人も同様に10%を超えるDSCRで推移しているためレンダーの融資姿勢は不動産等であればアセットタイプに寄らず低い金利を適用されているということが良く分かります。これは不動産業界の企業の株式を取得するよりもJ-REITの投資口を取得する方が少なくとも金利負担により利益が減る可能性は低いことになるので資金の避難先としてJ-REITが選ばれる理由も頷けます。投資口価格についても長期金利が低下していることが安心材料となっていることや価格の安定性や相対的に高い分配金利回りに着目した買いが一定程度続いているので。予想分配金利回りは4.1%強と相対的に高い水準にあるため投資家さんからするとキャピタルゲインの機会も多くなっているので良い環境ではないかと思います。レンダーポートフォリオの強化を行っている投資法人も有りますが地方銀行の場合は融資する際もしくは引き上げる際は競合の地方銀行気にするくせに金利だけは競合を気にせずやたら強気の地方銀行などもあります。この際、レンダーのリストラも行っていく必要も出てくるのでは無いかと思います。

 
・LTV(有利子負債比率)
20190202J-REIT_LTV推移
20190202J-REIT_LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で計算しています。5.11月決算の投資法人のLTVは前期と比べてさらに1段階踏み込んで低くなった投資法人とほぼ同水準で推移している投資法人が有ります。ユナイテッド・アーバン投資法人や大江戸温泉リート投資法人は一歩踏み込んだ水準になっています。まあ大江戸温泉リート投資法人が本当にLTV水準を意識しているかというとそうでもないと思いますが、ユナイテッド・アーバン投資法人は低い水準になっています。LTVの数値はレンダーが投資法人に資金を貸し出す際に一般企業の自己資本比率に相当する指標であるためLTVが低いと資金の借入れ余力が高いということになります。アクティビア・プロパティーズ投資法人や阪急阪神リート投資法人など商業施設が主力の投資法人はLTVとしてはこのままの水準で良いと思います。リニューアル工事で資本的支出や修繕費がかかりがちなアセットを抱えているのでレバレッジを効かせて大きく物件取得に踏み切ってくれないと投資家さんの資金がリニューアル工事を連発されたらたまったものではないですから借入金も利用すべきだと思います。平和不動産リート投資法人の場合はレジデンスが主力であることからレンダーからのレジデンスの評価は高いものの借入金額がそこまで伸びづらいということからレジデンス系J-REITはLTVが高めの傾向があります。ただ、44%は全く危険水域では無いので心配する必要は無いと考えます。