2019年3月14日にいちごホテルリート投資法人の決算が発表されました。
当初の予想一口当たり分配金が5,429円のところ5,486円で着地しました。

ホテル系J-REITでありながらスポンサーの依存度が高い
20190329いちごホテルリート投資法人NOI利回り推移

 このいちごホテルリート投資法人はホテル特化型のJ-REITですが、個人的にはいちご関連の銘柄はリーマンショック時に適当な運用をしていた実績を持っているいちごがスポンサーとしいうことで全くお勧めできません。

 2019年1月期の運用については2018年9月に発生した台風21号及び北海道胆振東部地震の影響による、予約キャンセルの影響がありましたがポートフォリオ全体ではその影響を最小限に留めたとしています。実際の取組みについては変動賃料物件のホテルオペレーターと月次運営会議等を通して継続的な協議を行い資本的支出工事の立案、実行を行っています。投資法人とオペレーターの関係ですが、もともとオペレーターが所有していたホテルを取得するというケースもありますが、物件を取得しその後、従来のオペレーターを新規オペレーターに変更するというケースも見られます。星野リゾート・リート投資法人のようにスポンサー自らがオペレーションを実行しているのであればノウハウもたまり安いというものですがいちごホテルリート投資法人の場合は完全に資本関係の無い外部オペレーターなので頻繁情報交換を行わないとトレンド情報の取得は難しいと思います。
 運用の結果、2019年1月期の実績として営業収益2,439百万円、営業利益1,573百万円、経常利益1,399百万円、当期純利益1,398百万円を計上しました。


LTVは低くてもそれ以外のリスクが大きい

 2018年11月に返済期限の到来する借入金(3,250百万円)の返済資金として、同月に既存取引銀行からの借入れ(合計3,250百万円)を行いました。この結果、2019年1月31日現在の借入金残高は21,750百万円となり、LTVは38.8%となっています。

 いちごホテルリート投資法人の資産運用会社(AM会社)は配当金利回りのことを投資家の期待利回りという表現を使っているため「投資家の期待利回りは低下傾向が続いています。」といった表現を使いさも投資家がJ-REITに対して期待していないような表現をして分配金が減少しても責められなように誘導している箇所があります。

 いちごオフィスリート投資法人と、いちごホテルリート投資法人もケネディクス系J-REITのように賢さをアピールしようとして底の浅さが露呈してしまっています。スポンサーが開発機能を持たないディベロッパーなので特徴を出すのであれば第三者からの物件を積極的に取得すること以外に無いと思うのですが、スポンサーであるいちご㈱本体がJ-REIT依存型ビジネスモデルを主力としてしまった以上は、第三者からの情報取得にも限りが出ています。いちごホテルリート投資法人の自称「ソーシング力」は当てにしない方が良いでしょう。仮に魅力的な物件情報がもたらされたとしても一度スポンサーが取得し投資法人に売却するというスポンサーの物件売却益発生装置となっているため高値掴みは必然なので利回りは低下するでしょうね。