2019年4月3日に日本格付研究所(JCR)がイオンリート投資法人の格付けを発表しました。評価は前回からの評価に据え置かれAA-(安定的)となっています。

格付理由

 スポンサーグループとの協働を軸に、ポートフォリオの質の向上を企図した資産入れ替えや物件取得が続けられています。2018年6月から7月にかけ「イオンモール熊本」を売却しました一方で、「イオンモール京都五条」を133億円で新規取得、9月には「イオンモール甲府昭和増築棟」を71億円で取得した。スポンサ ーグループのパイプラインも活用した取り組みを通じて、一定の収益性(19/1 期のNOI利回り:6.4%) を維持しつつ資産規模が緩やかながら拡大している。スポンサーグループをマスターレッシーとした長期かつ固定賃料のリースストラクチャーにより100%で推移している稼働率、活性化投資を通じたマスターリース賃料の増額実績など、賃貸事業運営の堅調なトラックレコードも示されています。

 商業施設としての競争力及び鮮度の維持・向上にむけた不断の取り組みが必要であるものの、当面安定したポートフォリ オ・キャッシュフローを確保できると想定している。財務面では、レバレッジの水準や含み益の推移、有利子負債の調達内容、金融機関取引状況などから健全な運営の継続を確認できる。以上を踏まえ、格付を据え置き、見通しを安定的とした。
 
 外部成長については引き続きスポンサーグループのパイプラインを活かし、「地域一番店」等安定したトラックレコードを有する物件を、相対取引を中心に取得していく計画。投資法人の取得時の目線に沿った形で進展していくか、物件タイプやテナントの多様化も含めフォローしていく。内部成長に関しては年間90億円弱の減価償却費を活用し、増床・リニューアルといった活性化投資を継続する方針。スポンサーグループの施設運営力をベースに保有物件の経年や変化する消費者ニーズへの適切な対応を通じて、収益の安定性を確保しつつアップサイドの取り込みが持続されるかがポイントとみています。

 資産総額ベースの簿価LTVは2019年1月期末で41.4%(預り敷金及び保証金を含む場合:44.9%)と2018/1月期末の水準から横這いで推移し、AMの想定する範囲内でコントロールされています。財務バッファーとなるポートフォリオの含み益は2019年1月期末で450億円(含み益率:13.3%)を有し、増加基調にある。メガバンクを中心としたレンダーフォーメーションを維持しつつ、新規レンダーの招聘や投資法人債(期間20年を含む)の発行を通じた調達先の多様化も図られている。今後についても適切なレバレッジコントロールの継続や、一段の返済期限の分散化、平均調達金利の低減などの取り組み状況に注目としています。

 確かに簿価ベースのLTVは41.4%なので都合の良い数字で評価していません。LTV(有利子負債比率)は安全性を測る指標でもあるため低く見せようと「時価ベースLTV」や敷金や保証金を相殺し「実質LTV」などとのたまう投資法人もあるので注意が必要なのですがJCRは割と素直に判断しているようですね。

格付評価
  長期発行体格付:AA-
  格付の見通し:安定的
  債券格付:AA-
  発行登録債予備格付:AA-

新規取得物件(イオンモール京都五条)の評価

 イオンモール京都五条は2004年1月に竣工し、3月に開業したリージョナル型ショッピングセンターです。「イオン京都五条店」を核に、「無印良品」など生活雑貨、ファッション関連、食品、サービスの専門店等で構成される。スポンサーグループのイオンモールとの間で賃料固定型マスターリース契約が締結されており、現行稼働率は100%。

 JR京都駅から直線距離約3㎞、敷地前面には国道9号線(五条通)が通り、道路アクセスが良好な職住が混在した既成市街地に立地する。周辺は居住密度も高く、食品や日常品目的の近隣買い物客を 中心に幅広い客層を獲得可能です。

 建物内では東側に核店舗、西側に専門店街が配置されており、東側の3階(一部) 、4~5階及び屋上は立体駐車場として利用されています。駐車場台数は約1,700台、駐輪場台数は約2,000台が確保されており、自転車での来店者比率が高いとみられるものの、車利用客も含め十分な集客力を有していると考えられます。築後約15年を経過しているが、16年に開業後初となる大規模リニューアルを実施しており、維持管理の状態は概ね良好と判断しているようです。

 見事にスポンサーがテナントのため固定賃料にしています。格付け的には安全性を優先するのでこれを高評価と結び付けているようですが、投資家さんからするとスポンサーはこの店舗での運営に確信が持てないため変動賃料にしなかったのだと考える方もいると思います。

 イオンリート投資法人のようにスポンサーからイオンモールを買い取ることを宿命づけられている投資法人は固定賃料から変動賃料に変更するようなことはほぼ無いと考えてよいと思います。