2019年2月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20190502J-REITNOI利回り
20190502J-REITNOI利回り2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。2月・8月決算の投資法人にNOI利回りについては前期よりも大きく上昇しているのはザイマックスリート投資法人です。この上昇理由は取得時に精算した固都税が相当額が取得価格に含まれて計上されているため賃貸事業費用として損益計算書に費用計上されていないため6%を超える水準をたたき出している要因といえます。来期は固都税相当額が賃貸事業費用の公租公課等の科目で表示されるでしょうから実際の5.6%~5.8%の水準で収まるのではないかと思います。それでもオフィス系J-REITでは高い水準だと思います。これは後発にて上場していながら安い価格で物件を取得できているのではないかと思います。

 相対的に高い水準で推移しているのやはり物流施設を多く保有している投資法人ですね。GLP投資法人、大和ハウスリート投資法人は物流施設の高い利益率により5%台での水準を維持できるのだと思います。同じ物流施設を運用していても三菱地所物流リート投資法人とラサールロジポート投資法人のNOI利回りは劣ります。特に三菱地所物流リート投資法人はスポンサーが三菱地所であることから投資法人に売却する物件が無いなんてことは無いと思います。しかし、物件の取得もろくに進んでいないという状況から三菱地所はかなり高い価格で三菱地所物流リート投資法人に売却することを考えていたのでは無いかと考えられます。売りたいものの、収益性として注目される指標であるNOI利回りが思いのほか悪化していることで三菱地所物流リート投資法人サイドとして取得し辛いという状況なのではないでしょうか。物流系J-REITには他にもCREロジスティクスファンド投資法人や、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人なのですが、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人は伊藤忠がスポンサーということで物件をガンガン取得していくタイプの投資法人になるでしょうし、CREロジスティクスファンド投資法人はスポンサーのシーアルイ―は頼りないものの物流施設管理のプロなので内部成長は期待できると思います。とすると運用面においては三菱地所物流リート投資法人とラサールロジポート投資法人が物流系J-REITでは最下位争いをしていると言って良いと思います。


・当期純利益率
20190502J-REIT当期純利益率
20190502J-REIT当期純利益率2

 当期純利益率ではOneリート投資法人が大きく成長しています。2018年8月期、2018年2月期は物件の譲渡益が計上されているため高い数値ですが、2019年2月期は本物の運用のみの実力なのでこれは素晴らしいと思います。物件の入替えは成功したと考えて良いのではないでしょうか。

 同じくオフィス系のオリックス不動産投資法人は少し伸び悩んでいます。運用物件も100棟を超え、オフィスビルだけでなく、商業施設やホテル・物流施設も少数ながら保有していますが、スポンサーから高値で物件を取得しなればならないので内部成長でNOI利回りを改善しなければならないのですがなかなか厳しいものがありますね。反対にスポンサーから高値で物件を買わされていながらあまり文句をつけることが難しいのがヒューリックリート投資法人です。当期純利益率も物件の譲渡益を抜いても46~47%程度なので利益率はそれなりに高いんですよね。また、スポンサーのヒューリックは中小規模のオフィスビルについては大きなシェアを持っているのでスポンサーの開発した物件は確かに競争力があるし、良い立地を仕入れることができていることも好材料です。ここの点については投資家さんからも評価を得ているようで投資口価格が下がり辛いという印象があります。

 大手レジデンス系J-REITの1つである日本アコモデーションファンド投資法人も安定的な数値を計上しています。徐々にですが利益率はどんどん上昇している点から物件を入れ替えるごとに物件の質が上昇しています。2019年2月期はパークキューブ池袋要町の譲渡益48百万円が含まれていますが、これを除くと41.84%前後という点からも推察できます。