2019年5月8日にしんきんアセットマネジメントよりJ-REITマーケットレポートが開示されましたのでご紹介致します。

 2019年4月のJ-REIT市場は、上旬は新年度入りを迎え、主に金融機関からの利益確定売りが出たことや、長期金利が上昇したことなどもあり、軟調な展開になりました。中旬にかけても利益確定売りが見られたものの、東証REIT指数(配当なし)が1,870ポイントに近づくと、相対的に高い分配金利回りに着目した押し目買いなどから底堅く推移し、東証REIT指数(配当なし)は1,870ポイントを挟んでの一進一退の動きが続きました。下旬は、内外の金利上昇が一服するとともに、期初の益出し売りが一巡する中、引き続き分配金利回りに着目した買いなどから、堅調な地合いが継続し、月前半の下げ幅を縮小する動きになりました。

 今後は、引き続き高値圏での上昇余地を探る展開を予想します。3月末の東京都心のオフィスの平均賃料が63か月連続で上昇するなど、オフィスを中心にした賃料収入の増加や、好調な不動産市況を背景とした投資物件の入れ替えなどで、分配金の伸びが続いています。海外投資家の買いが継続していること、3月には久しぶりに投資信託が買い越しに転じたことも安心材料です。日銀が強力な金融緩和を粘り強く続ける中、長期金利はマイナス圏で推移しており、J-REITの相対的に高く安定した分配金利回りに着目した買いも期待できます。とはいえ、日米の物品貿易協定(TAG)交渉や最終判断が近いとみられる消費増税をめぐる思わくなどに振らされることには注意が必要です。

4月の主要指標

20190513しんきんアセットマネジメントJ-REITレポート

 東証REIT指数
  1,889.13円前月比(+1.0%)

 東証REIT指数(用途別)  
  オフィス   1,935.33(前月比▲2.3%)
  住宅     2,843.70(前月比▲1.3%)
  商業・物流等 2,218.47(前月比+1.0%)

 日銀は4月24~25日に開いた金融政策決定会合で、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利である10年物国債金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の維持を決定すると、金融政策の指針であるフォワードガイダンスを変更しました。
 従来は、「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」としていましたが、今回、「当分の間、少なくとも2020年春頃まで、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」と、時間軸を明確化しました。あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2021年度の物価上昇率見通しを年1.6%としており、3年後も2%の物価目標に届かない見通しになりました(図表1)。2020年春頃まで低い長短金利の水準を維持するとのフォワードガイダンスですが、強力な金融緩和策が、2020年春以降も続くことを見込んでいます。

 最近数日は米国・中国間の貿易摩擦により日経平均だけでなくJ-REITの投資口価格にも影響を及ぼしています。3月下旬以降は投資口価格がどこの投資法人も上昇していたので久々の追加投資のタイミングだったのではないでしょうか。

【出典:しんきんアセットマネジメントJ-REIT市場の現状と見通し】