2019年4月15日に日本リテールファンド投資法人と産業ファンド投資法人の資産運用会社である三菱商事・ユービーエス・リアルティ㈱とMCUBS MidCity投資法人の運用会社であるMCUBS MidCity㈱合併契約書を締結したと発表しました。MCUBS MidCity㈱は吸収される側の運用会社です。

(1)資産運用会社合併の日程

 ①基本合意書締結日:2019年3月22日
 ②取締役会決議日(合併契約承認):2019年4月12日
 ③株主総会開催日(MCUBSR)(合併契約承認):2019年4月12日
 ④合併契約書締結日:2019年4月12日
 ⑤合併効力発生日:2019年7月1日(予定)
 ⑥合併登記日:2019年7月上旬(予定)
 ⑦内閣総理大臣:への届出日2019年7月上旬(予定)


(2)合併後の投資法の資産運用会社(新MCUBSR)の概要

 ①名称:三菱商事・ユービーエス・リアルティ㈱
 ②所在地:東京都千代田区丸の内二丁目7番3号東京ビルディング
 ③代表者の役職・氏名:代表取締役社社長:岡本 勝治
 ④事業内容:投資運用業
 ⑤資本金:5億円
 ⑥決算期:3月
 ⑦純資産:未定
 ⑧総資産:未定

20190517MCUBS MidCity投資法人運用会社組織図

【出典:資産運用会社であるMCUBS MidCity㈱の合併契約書締結等に関するお知らせ】


(3)物件取得に係る優先順位

 ①商業施設に係る優先検討権
  商業施設(単⼀施設に限りる)に関しては、リテール本部が第一優先検討権を得る。
  →日本リテールファンド投資法人が取得検討
 
 ②産業用不動産に係る優先検討権
  物流施設、工場・研究開発施設及びインフラ施設(単⼀施設に限りる)に関しては、インダストリアル本部が第⼀優先検討権を得る。
  →産業ファンド投資法人が取得検討

 ③オフィスビル、居住用施設及びホテルに係る優先検討権
  オフィスビル、居住用施設及びホテル(事務所用途及び住宅用途の複合施設、事務所用途及びホテル用途の複合施設、住宅用途及びホテル用途の複合施設、並びに、事務所用途、住宅用途及びホテル用途の複合施設を含む。ただし、事務所用途、住宅用途及びホテル用途以外の用途として用いられている部分が含まれる複合施設を除く。)に関しては、オフィス本部が第⼀優先検討権を得る。
  →MCUBS MidCity投資法人が取得検討

 資産運用会社の組織図を見る限りアクイジション本部が見つけてきた物件をリテール本部、インダストリアル本部、オフィス本部が各々アセットタイプごとに取得を検討するということになると想像するのですが、MCUBS MidCity投資法人の投資家さんにとって問題はアクイジション本部がしっかりとオフィス案件を見つけてくれるのかどうかです。特に日本リテールファンド投資法人はリテール系J-REITとして、産業ファンド投資法人は物流系J-REITとして知名度もシェアも運用物件の質もトップクラス銘柄として運用しています。しかし、MCUBS MidCity投資法人はオフィス系J-REITの実績としては正直微妙な位置です。アクイジション本部の人数にも限りがあると思うのでリテールや物流施設の取得に一生懸命になりオフィスビルの取得つまりMCUBS MidCity投資法人の成長はかなり後手に回るというか成長は鈍化するのではないかと思います。

 スポンサーの三菱商事は安易に傘下の投資法人同士を合併させるようなことはしないと思うのですが今のMCUBS MidCity投資法人と競合するであろうオフィスビルは日本ビルファンド投資法人やジャパンリアルエステイト投資法人、日本プライムリアルティ投資法人といった大手どころ、ケネディクス・オフィス投資法人やヒューリックリート投資法人といった外部成長に勢いのあるところ、グローバル・ワン不動産投資法人や森トラスト総合リート投資法人のように質の高い少数物件で勝負するところ等々、比較される競合が多すぎます。果たして三菱商事や運用会社がどこまでオフィスビル取得に対して本気に取り組めるかがカギになりそうです。