一般社団法人日本ショッピングセンター協会から2019年4月時点のSC販売統計調査報告が公開されておりますのでご紹介致します。
20190530SC販売統計調査報告2019年4月

 2019年4月度の既存SC売上高は前年同月比+0.2%となり前年並みとなりました。全国的に気温が低く衣料品の売上が伸び悩んだようですが、大型連休による行楽客の増加もあり、駅ビルなどで飲食や食物販など食関連が堅調となりました。
 立地別・構成別をみると、テナントは全ての立地で前年を上回り総合で同+0.7%、キーテナントは前月(同▲0.3%)から1.7ポイント後退し同▲2.0%となりました。テナント、キーテナントともに、中心地域・大都市が全ての立地のなかで最も好調でした。
 立地別・地域別をみると、全9地域のうち、6地域(北海道、関東、中部、北陸、中国、九州・沖縄)が前年比±1%以内に収まり全国的に前年並みとなりました。また、行楽需要の増加などにより、北陸の中心地域が同+5.7%、中部の中心地域が同+4.3%と好調となりました。
 都市規模別・地域別をみると総合で大都市は同+0.5%、その他の地域は同0.0%となっていますが、キーテナントが全国的に不振で名古屋市、北海道、中国を除き前年比マイナスとなっています。
 業種毎の販売動向では、飲食を好調と回答したSCが多くなりました。一方で不振との回答が多かった業種は衣料品となっています。
20190530既存SC売上高伸長率

 5月も後半に入ってからかなり暑い日が続いています。衣料品は特にいつ仕込むかというところが重要になってきます。衣料品は特に気温に大きく左右されるところがあるのでここの判断はイオンであっても難しいと思います。福岡リート投資法人のキャナルシティ博多のようなテーマパークの形態を採っているものやヤマダ電機やケーズデンキなどの物販施設の形態を採っているような商業施設はあまり季節による影響は少ないと感じるかもしれませんがエアコンや空気清浄機といった家電の品ぞろえもテナントの収益に影響するため固定賃料で賃貸していたとしても今後の賃貸更新契約の内容にネガティブに働く可能性もあります。衣料品や家電など小売業界の会社がテナントとして存在する場合はたった1ヶ月の収益で赤字に転落する可能性が有るのでモニタリングはオフィスビルの稼働率よりも大事になってきます。

 この日本ショッピングセンター協会の統計には各地域のイオンモールの情報が含まれているため業況を客観的に理解するためにはかなり有用です。リテール系J-REITはほとんど最低イオンモールの物件を運用しています。比較的最近上場したばかりのエスコンジャパンリート投資法人でさえもしてい保有しています。資産運用会社によってはテナントの業態に無理解で稼働率さえ上げれば良いという人もいるので投資家の方は投資法人の運用の実績をもっと慎重に見て欲しいと感じます。
 
【出典:一般社団法人日本ショッピングセンター協会SC販売統計調査報告2019年4月】