2019年5月31日にフロンティア不動産投資法人が三井ショッピングパークアルパーク(東棟)の譲渡が完了したと発表しました。

譲渡資産の概要

  ①譲渡資産:三井ショッピングパークアルパーク(東棟)
  ②譲渡価格:3,800百万円
  ③帳簿価額:4,741百万円(2018年12月時点)
  ④売買契約締結日:2019年3月18日
  ⑤引渡日:2019年5月31日
  ⑥売却先:非開示
  ⑦支払方法:引渡時全額支払
  ⑧譲渡理由:2013年2月に取得して以来、広島市内における中核的な商業施設の一つとして運用を行っていましたが、物件を取り巻く近年の周辺環境の急激な変化や築年数経過による施設競争力の低下等により売上の下落傾向が継続しており、将来の収益性低下が見込まれていました。 そのような状況の中、投資法人は、将来発生しうるリスク要因(マスターリース契約解消等)やその影響について慎重に検証を行い、物件の保有を継続するよりも、譲渡損失が発生したとしても、不動産売買市場が活況を呈している現時点で譲渡し、将来リスクを回避することが望ましいという判断をし、今般、譲渡を決定。

 また、三井ショッピングパークアルパーク(東棟)の譲渡は、「池袋グローブ(共有持分50%)」、「栄グローブ(準共有持分40%)」及び「心斎橋MGビル(共有持分60%)」との資産入替を目的として実施するもので、資産運用会社は、この資産入替により資産規模の拡大と平均築年数の低下を見込んでいます。

 今の不動産マーケットの時点で売却をしたいという理由はよく分かります。2020年以降の不動産マーケットについてこのまま進むことはやはり信用できないのは私も同じなので今のうちに売却損を発生してでも売却したいという考えはよく分かります。しかし、売却損が約800百万円も発生するのはちょっとやりすぎな気もします。鑑定評価額が5,470百万円もあるなかで大幅ディスカウントの売却は何か裏があるのではないかと勘繰ってしまいます。鑑定評価額の価格を基準として売却していくのがセオリーですが、売却が東棟部分のみというところが売却を難しくしているのではないかと感じます。

 区分所有の場合、物件取得については有利なのですが売却になった場合これが中々ハードルが高いんですよね。帳簿価格割れで物件を売却するには売却先から新規取得を行うための交換条件として使われるケースがあるのですが、池袋グローブ、栄グローブ、心斎橋MGビルの取得はいずれもスポンサーである三井不動産㈱からの取得なので三井ショッピングパークアルパークとの交換という訳ではなさそう。とすると普通に区分所有であったがゆえに売却が上手くいかなかったと考えるのが妥当だと推察します。

 いずれにしろ今回の三井ショッピングパークアルパーク(東棟)の売却はここ近年で1番の悪い例の売却だと思います。フロンティア不動産投資法人らしくないと思います。なぜならスポンサーから取得予定の池袋グローブ、栄グローブ、心斎橋MGビルもいずれも区分所有なのでまたこれらの物件を売却する際に同じことが起きないようにして判断して欲しいですね。