この記事をご覧の皆様で太陽光発電で電力会社に売電している方はいらっしゃるでしょうか。
 住宅用太陽光は2009年11月、発電した電力の余剰分を電力会社に買い取ることを義務づけた制度が始まりました。期間は10年のため、今年から期限切れを迎える家庭が出始めます。対象となる家庭は、売電先を新たに決める必要があります、電気自動車や蓄電池の活用により自家消費するという選択肢もあるんですけどね。売電が開始時期が早かった方はもうFIT価格にて売却することができなくなってしまいます。

 住宅用の2019年度契約のFIT買取単価は10kw未満の太陽光発電で26円ですが、2019年11月で満了を迎えるものは同48円です。既存の電力会社に引き続き売電すると今回の買取価格は約7分の1になってしまいます。
20190615卒FITアンケート

 2019年3月22日の電通の発表によると、自宅で太陽光発電を売電している人のうち固定価格買取制度(FIT)の買取期間が2019年から順次終了することについて、「内容まで知っていた」は38.8%、「内容までは知らないが、見聞きしたことはあった」は35.4%となり、FIT終了の認知度は合計74.2%という結果になりました。
 同社内でエネルギー関連の研究開発を行う横断組織チーム「DEMS(ディームス)」が2014年12月から実施している「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」の第8回。インターネット調査で期間は2018年12月5日~10日。調査数は全国5600人、うち588人が太陽光発電で売電していると回答した。
 FITによる買取期間が終了した後の意向は、「少しでも高く買い取ってくれる事業者を探したい」が41.5%、「自分で使い切りたい」(自家消費)が23.3%、「現在の電力会社への売電を継続したい」が9.9%と回答し、自家消費よりも売電を望む声の方が大きく過半数に達しました。
 また、2019年末までにFITの終了する人(100人)に限ると、「少しでも高額で売電」が45.0%、「自家消費」が16.0%、「現在の売電継続」が13.0%となり、より売電の意向が大きくなっています。

 そのまま、電力会社に売電したいところですが、もともと48円だったものが26円になってしまうこと、また出力制限装置の取り付けを要求する電力会社も多く既存の売電先と引き続き契約することはお勧めしません。第一、固定価格買取が終了した後に売電先を決めないと余剰電力は、電力会社が無償で引き取ることになっています。売電収入は1円も得ることが出来ないのです。

 そこで「新電力」と言われる小売売電業者と契約することを検討してみて欲しいと思います。新電力とは電力自由化に伴い新たにエネルギー業界に参入してきた電気の小売りをメイン事業とする民間の会社です。

 これら小売売電業者との契約をお勧めする理由はJ-REITでも利用しているからです。インフラファンドの場合は責任を持って売電料金を支払ってくれる電力会社に売電契約を締結しますが、J-REITの場合、例えば物流施設に太陽光パネルを設置し売電するケースでは電力会社よりも小売売電業者に売却する事例が多いのです。電力会社はやはりお殿様なので契約書についても電力会社用のひな形を使わなければならず細かい規則にも縛られかつ、交渉も出来ないことが多いのです。

 小売売電業者の場合は売電による入金サイクルの交渉もしやすいことや、小売売電業者と提携関係にある企業のポイントを利用できるなど売電だけでないサービスを提供してくれているところもあります。

 インフラファンドのメガソーラー発電所についてはFIT価格は20年となっているので猶予はまだ、まだありますがいずれは卒FITすることなります。住宅用の太陽光発電を行っている売電者の動きによっては小売売電業者と契約を結び引き続き運用していく発電所も出てくると思います。そのため住宅用の卒FIT案件の動向を見届けたいですね。