2019年4月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20190630J-REIT(4.10月)NOI利回り推移
20190630J-REIT(4.10月)NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。4月・10月決算の投資法人にNOI利回りについては概ね前期と変わらない結果となっています。ケネディクス・オフィス投資方針やインベスコ・オフィスリート投資法人、トーセイ・リート投資法人といったオフィス系J-REITのNOI利回りが高いのは良い傾向だと思います。特にオフィス系については内部成長に注力した投資法人が多いため賃貸事業費用のマネジメントや稼働率の上昇から利回りが上昇しているものと考えられます。

 ホテルを主力とする星野リゾート・リート投資法人については6.5%と前期と比べると0.2%落ち込んでいますが、前々期が6.5%と同様の水準であることから実態としてはリゾートホテルはやはり夏季の行楽シーズンに大きな利益が発生していると考えられまるので前期(つまり10月期決算)の時期よりも減少することはしたしかたない言えそうです。

 一方レジデンス系のスターツプロシードは頑張っていると思います。レジデンスの場合は中々賃料増額ということが難しいのですが、礼金や更新料を受け取れるのでそれによりNOI利回りも上昇したと考えられます。また、賃貸事業費用のうち修繕費の推移については毎期9千万円~1億円の範囲で計画を立てているようで各種工事についてもしっかりとマネジメントを行っているというところが分かります。スターツプロシード投資法人が私が1社目のAM会社で働いていた時は単独でジャスダックに上場していた弱小REITでしたがいつの間にかJ-REITの中で存在感を表しているのはとても素晴らしいと思います。


・当期純利益率
20190630J-REIT(4.10月)当期純利益率推移
20190630J-REIT(4.10月)当期純利益率推移2

 当期純利益率についてもどこの投資法人も前期とほぼ同様の水準ですね。資産の入替えについても前期に引き続き活発に行っている投資法人もありますが新規の取得は2019年が大詰めとなりそうな予感がします。ケネディクス・オフィス投資法人については前期に売却したフレームフレーム神南坂の残りの準共有持分51%)の売却を行いました。 売却益が565百万円が含まれているため当期純利益率が上昇しています。プレミア投資法人は2棟の物件売却を行っており、プレミア海岸ビルは362百万円、アーバンネット入船ビルは514百万円の売却益を計上しています。プレミア投資法人は2017年4月期意向は毎年4月期に物件を売却するという1年単位で1~2棟ずつ資産入れ替えをしていくというスタイルを採っています。インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人はCSタワーアネックスの売却により149百万円の売却益を計上しています。特に未上場の不動産企業はかなり積極的に物件を取得しようとする傾向があるためこれらのオフィス系J-REITにとっては売却益を計上できる価格で売却できる環境にあるのでこの資産入れ替えの流れは今後も継続していくと考えています。

 日本ヘルスケア投資法人については物件を入れ替えるほど取得できていないので物件の入替え云々をいっている場合ではないので早く物件の取得を展開して欲しいのですが今後不動産マーケットの価格が下落していくことを予想しているのではないかと思わなくもないので2020年以降に大化けする可能性に期待したい思います。