2019年7月18日に日本プロロジスリート投資法人の決算が発表されました。
当初の予想一口当たり分配金が9,878円のところ4,502円で着地しました。
尚、利益超過分配金567円が含まれています。

内部成長のアピールが不足
20190724日本プロロジスリート投資法人NOI推移

 日本プロロジスリート投資法人の資産運用会社の分析によれば物流不動産市場においては、(i)生産拠点の海外シフトやサービス産業へのシフト、グローバルな貿易量の継続的拡大等の国内外の経済、産業構造、社会情勢の変化、(ii)電子商取引やインターネットを通じた通信販売の拡大及びサードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業の市場規模拡大等により、サプライチェーンの再構築が引き続き進行していることからかかる再構築の結果として、カスタマーのニーズが築年数の古い小型の倉庫からより新しく大型で高機能の物流施設へ移行すること、Aクラス物流施設に対するニーズは引き続き高い水準を維持するものと分析しています。近年、先進的物流不動産市場への新規参入が相次ぎ、大型のマルチテナント型物流施設の開発及び竣工が増加しており、一部のエリアでは空室率が一時的に上昇しましたが、投資法人のポートフォリオをはじめとして安定稼働した物流施設の稼働率は引き続き高水準を維持しているとのこと。

 また、集中的な新規供給により一時的に需給が緩んだエリアにおいてもリーシングが着実に進捗しており、それらのエリアにおいても空室率に低下傾向が見られることから、総じて物流施設の需給バランスは改善に向かっていると考えられます。このような状況の中、投資法人が保有する物件の高い競争力とスポンサーであるプロロジス・グループによる強力なリーシングサポートにより、2019年5月期末時点の稼働率は99.7%と極めて高い水準を維持しています。保有する資産は42物件(取得価格合計578,670百万円)となっています。これら42物件は、その全てがプロロジス・グループにより開発されたAクラス物件です

 2018年6月に発生した大阪府北部地震及び2018年9月に襲来した台風21号及び台風24号に関連して発生した修繕費等とその保険金収入を特別損失及び特別利益としてそれぞれ、716,390千円及び759,531千円計上しています。このような運用の結果、2019年5月期の実績は、営業収益19,771百万円、営業利益9,240百万円、経常利益8,559百万円となりました。


LTVは37.7%で低め推移

 財務の動きについては新規取得物件(プロロジスパークつくば1-A)の取得資金及び関連費用の一部へ充当するため、2018年12月3日付で短期借入金6,500百万円の借入れを行いました。また、長期借入金の返済資金に充当するため、2018年12月3日付で長期借入金6,400百万円の借入れを行いました。これらの結果、投資法人の2019年5月期末時点の有利子負債金額は217,500百万円(借入金残高199,500百万円、投資法人債残高18,000百万円)となり、LTVは37.7%となっています。
 LTVは37.7%と低く、DSCRも28.1%とかなり高いことから財務面は相当に安定しています。安全性は高いレベルと見ることができると思われます。悩ましいのは内部成長面について管理・運用、リーシングについての実績が記されていない点です。記載されていないということは無いのですが、「物流施設に対するニーズは高い水準で推移していくと考えている」という市場分析だけでそれで「当期にAM会社として何をしたの?」と感じざるを得ない状況です。物流施設はJ-REITのアセットの中では管理が楽ではありますがただボーっとしている訳では無いはずです。

 決算説明会資料26ページにはには成長戦略として内部成長では以下の2点を掲げています。
20190724日本プロロジスリート投資法人内部成長戦略

 ・先進的物流不動産市場の需給適正化
 ・カスタマー企業による物流機能効率性追求の継続

 これら2点により中長期的な賃料上昇に繋げるような図になっているのですが、具体的な取組みについてもっと説明して欲しいですね。日本プロロジスリート投資法人の物流施設は新しいものも多く悪い物件とは思いません。個人的には全体的に物流系J-REITは成長性の高い銘柄だと思っています。もう少し投資家さんへのアピールを考えた方が良いかと思います。