2019年8月5日に森トラスト・ホテルリート投資法人がヒルトン小田原リゾート&スパ取得すると発表しました。外部成長に慎重な森トラスト・ホテルリート投資法人の単品取得の発表で取得日は2019年9月2日です。

取得資産の概要

  ①取得資産:ヒルトン小田原リゾート&スパ(準共有持分割合50%)  
  ②取得価格:6,500百万円
  ③鑑定評価額:7,250百万円(2019年7月19日時点)
  ④売買契約締結日:2019年8月5日
  ⑤引渡日:2019年9月2日
  ⑥取得先:小田原ヒルトン㈱
  ⑦取得資金:借入金及び自己資金 
  ⑧支払方法:引渡時全額支払
  ⑨立地:小田原市は、神奈川県西地域の中心都市で、小田原城や小田原漁港といった観光名所をはじめ、城下町として栄えた歴史から、独自の産業や文化といった無形の観光資源を有し、伝統的な温泉観光地である箱根や伊豆への玄関口となっています。東京から東海道新幹線で35分、羽田空港からも電車利用で約1時間という距離にあり、首都圏からのアクセスに優れています。小田原市への観光客数は、2015年には453万人であったところ、2016年に594万人、2017年には611万人を記録し、増加傾向にあります。小田原市では2016年3月に「小田原市観光戦略ビジョン」を策定し、観光客数を2022年度に700万人、2029年度には1,000万人まで増やすことを目標としており、さらなる観光客の増加が見込まれます。(小田原市「小田原市観光戦略ビジョン」及び神奈川県観光振興対策協議会「神奈川県入込観光客調査」による。)

 ヒルトン小田原リゾート&スパへのアクセスにはホテルのシャトルバスで小田原駅より約20分、根府川駅より約5分の距離に位置しています。客室全室からオーシャンビューが楽しめ、自然溢れる緑も一望することができ、都会の喧騒から離れた穏やかでプレミアム感のあるリゾートステイが満喫できる環境です。

 森トラスト・ホテルリート投資法人は、取得予定日に取得予定資産のホテル経営会社であるMT&ヒルトンホテルを賃借人とする定期建物賃貸借契約を締結します。リゾートタイプのホテルであることから、季節による繁閑の差が相対的に大きい傾向にあります。そのため、定期建物賃貸借契約における賃料計算方法について、1年間のホテル運営利益を平均した数値を、投資法人が受け取る賃料の計算の基礎とする方法を採用することで、安定性と成長性のバランスに配慮した賃料形態を採る予定。
20190812ヒルトン小田原リゾート&スパ


 ホテルブランドは、ヒルトンが展開するホテルブランドのひとつである「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」であり、投資法人が重点投資対象としている上位4グレードのうち、上から2番目のグレードにあたる「アッパーアップスケール」に属するインターナショナルブランドホテルです。ヒルトンは世界有数のホスピタリティ企業として17のブランド、114か国にて939,000室以上、約5,900軒のホテルを運営しており、ワールドワイドに広がる顧客基盤、グローバルスタンダードなサービスの提供を可能とする運営ノウハウを有しています。また、世界に約9,400万人の会員数を有し、受賞歴を誇るゲスト・ロイヤルティ・プログラム「ヒルトン・オナーズ」を運営し高い集客力を有すと考えられます。

 1棟丸ごとの取得ではなく50%の区分取得です。また、公募増資を絡めずに借入金と自己資金での取得ということで取得物件の賃貸事業利益分は分配金の上昇が期待できるため今回の取得はポジティブな情報だと思います。

20190812神奈川県アセット別客室稼働率
【観光庁-宿泊統計調査より作成】

 心配なのはプレスリリースでも触れているとおり、季節による繁閑の差が相対的に大きいリゾートホテルであるという点。1年間のホテル運営利益を平均した数値を賃料の計算根拠とする方法で安定性を図っていますが、オーシャンビューは分かりますが小田原は別段海水浴客で賑わうエリアでもないため客室稼働率については立地による優位性よりもテナントであるヒルトンホテルのサービスの質に依存することが大きいと考えられます。