2019年8月15日に日本ビルファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり10,440円のところ10,560円で着地しました。

競争力の高いオフィスビルの取得でポートフォリオの質が高まる
20190821日本ビルファンド投資法人賃貸事業利益推移

 2019年6月期は、2019年3月及び4月に「G-BASE田町」(信託受益権、取得価格合計:282億円)を取得しました。また、既保有物件である「大崎ブライトコア・ブライトプラザ」の持分(不動産、取得価格:42億円)及び「中野坂上サンブライトツイン」の持分(不動産、取得価格:4.8億円)をそれぞれ2019年4月及び6月に追加取得しました。一方、2019年2月に「NBF芝公園大門通りビル」(信託受益権、譲渡価格:62億円)及び「NBF宇都宮ビル」(不動産、譲渡価格:30.5億円)の2物件の譲渡を行いました。保有物件については、マーケット動向を把握した適切かつ柔軟なリーシング活動及びテナントリレーション強化による稼働率の維持と賃料増額改定の取組み強化により、安定的な賃貸事業収入の拡大を図っています。加えて、戦略的かつメリハリのある追加投資を行うとともに、工事実施時期及びコストの適正化により費用の削減にも努めています。

  日本ビルファンド投資法人は、ESG(Environment:環境/Social:社会/Governance:ガバナンス)への取り組みも推進しており、2018年に実施されたグローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク(Global Real Estate Sustainability Benchmark:GRESB)リアルエステイト評価において最高位の「Green Star」の評価を、GRESBレーティングにおいて最上位の「5Star」の評価を取得しています。また、GRESB開示評価においても最上位の「A」の評価を取得しています。 

 上記のような運用の結果、2019年6月期末時点において、投資法人が保有する物件数は71物件、取得価格合計は1兆1,294億円、総賃貸可能面積は1,091,311㎡(330,121坪)となりました。また、2019年6月期末時点のポートフォリオ全体の稼働率(サブリース勘案後)は99.5%(前期末比0.0ポイントの下落)、テナント総数(サブリース勘案後)は1,483となっています。 運用実績として、営業収益は38,529百万円(前期比1,061百万円増、2.8%増)、不動産賃貸事業利益は17,926百万円(前期比292百万円増、1.7%増)、資産運用報酬・保管及び事務委託コスト等の費用控除後の営業利益は16,731百万円(前期比699百万円増、4.4%増)、経常利益は15,391百万円(前期比871百万円増、6.0%増)、当期純利益は15,390百万円(前期比871百万円増、6.0%増)となりました。


DSCRが17.67%に大幅上昇

 財務面については前期に引き続きLTVの上限の目途を56%としつつ、当面のターゲットを36%から46%に定め、保守的な財務運営を行っています。2019年6月期においては、長期借入金318億円が返済期限を迎えました。これら長期借入金の返済資金及び物件の取得 資金の一部として、長期借入金の借入れにより、合計495億円を調達しました。なお、機動的な資金調達及び借換えリスク軽減等のための安定的な調達基盤の確保といった観点から、コミットメントラインを設定しています。これらの結果、LTVは41.7%、長期固定金利比率(有利子負債残高に対する約定時の借入期間、発行時の償還期間が1年超の固定金利で調達した有利子負債残高の比率)は92.9%となっています。

 なお、NBF芝公園大門通りビル及びNBF宇都宮ビルの譲渡益478百万円については、全額を圧縮積立金として内部留保するとしているため分配金の上昇はお預けでした。それでも毎期分配金は上昇しているので投資家さんからの不満は少ないとは思います。反対に投資口価格は前期よりも6月末時点で約47,000円程度上昇しているので現状での日本ビルファンド投資法人の利回りに不満を感じ投資口の購入を見合わせている投資家さんの方が多そうですね。