2019年8月15日にフロンティア不動産投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり10,490円のところ10,490円で着地しました。

物件の一部売却も売却益は留保の方針
20190822フロンティア不動産投資法人NOI推移

 2019年6月期の外部成長面は投資法人はスポンサーからの都心型商業施設の取得とリスク資産の譲渡による資産入れ替えや、既存物件の競争力維持・向上のための施策を実施し、ポートフォリオの質の向上及び収益の安定性向上に努めました。2019年4月3日にはパピヨンプラザの一部売却(譲渡価格401百万円)を、2019年5月31日には三井ショッピングパークアルパーク(東棟)の売却(譲渡価格3,800百万円)を行いました。取得については2019年3月22日に池袋グローブ(取得価格10,300百万円)、栄グローブ(取得価格6,350百万円)、心斎橋MGビル(取得価格10,300百万円)の取得を行いました。

 2019年6月期末におけるポートフォリオ全体の賃貸状況については、信用力の高いテナントとの長期固定の賃貸借契約を中心とした安定的なポートフォリオを維持しており、稼働率は100.0%となっています。上記3棟の物件は取得したばかりということで固都税が租税公課として認識されていないので賃貸事業利益率は高めになっていますが、トップラインである賃貸事業収入が199百万円増加しているので物件入替戦略は上手くいったのではないでしょうか。
 これらの運用の結果、2019年6月期の実績として営業収益は10,548百万円、営業利益は4,914百万円、経常利益は4,668百万円、当期純利益は4,667百万円となりました。


財務の安全性は引き続き高く格付けに変更無し

 フロンティア不動産投資法人は、中長期的な分配金の安定成長を基本方針としており、2019年6月期も引き続き、財務の安全性向上に留意しつつ、調達先の拡大、調達手段の多様化、返済期限の分散、長期固定化の推進を意識した資金調達を行いました。その結果、2019年6月期末日現在の借入金等の残高は、短期借入金11,000百万円、長期借入金97,900百万円及び投資法人債券5,000百万円の合計113,900百万円となっています。また、投資法人は、資金調達の多様性・機動性を保持するため、2006年12月26日付でS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱から、2009年6月30日付で㈱格付投資情報センター(R&I)から、2015年12月22日付で㈱日本格付研究所(JCR)から、それぞれ発行体格付を取得しています。
 ・格付投資情報センター(R&I):AA-(安定的)
 ・S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱:長期:A+(安定的)、短期:A-1
 ・㈱日本格付研究所(JCR):AA(安定的)

 フロンティア不動産投資法人の不動産投資市場の分析について、「金融緩和政策の継続を背景とした不動産価格の上昇により大型物件が高値で取引される事例が出ており、REITによる資産入れ替えも活発化しました。」と決算短信の記載がありますが、これはまさにそうだと思います。むしろJ-REITよりも私募ファンドや富裕層の個人の方の物件売買が活発です。特に個人の方や「不動産特定共同事業」を営んでいる企業は短期で売買するケース(3ヵ月~6ヵ月、短いものでは1ヶ月のケースも)も活発に動いています。少なくとも増税直前の9月までは物件の大小問わず売買される傾向は続くと思います。
 J-REITの場合は増税になるからと駆け込み的に物件を取得することはほぼ無くあくまで不動産マーケットを見みながら取得を検討していくので、増税がJ-REITの外部成長に影響を与える可能性は低いと考えられます。