2019年8月15日にMCUBSMidCity投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり2,695円のところ2,751円で着地しました。

地道な物件入替でと賃貸事業利益率が上昇中
20190823MCUBSMidCity投資法人賃貸事業利益推移

 2019年6月期の運用面については、戦略的資産入替の一環として前期に譲渡した大阪圏所在の松下IMPビルの残り準共有持分割合45%(譲渡価格12,150百万円)を2019年3月に譲渡しました。また同月には東京圏所在のM-City江戸川橋ビル(取得価格4,070百万円)を新たに取得し、分散投資によるリスクの低減を進めました。2019年6月期末時点での保有資産は23件、取得価格合計260,619百万円であり、取得価格に基づく投資比率は、エリア別では三大都市圏97.0%(うち、東京圏59.8%、大阪圏35.3%、名古屋圏1.9%)、その他地域3.0%、用途別ではオフィスビル88.0%、その他12.0%となっています。また、空室率の改善と賃料水準の緩やかな上昇傾向が続いているオフィス賃貸市場を追い風に、新規テナントの誘致や既存テナントの満足度向上への取組みを進めた結果、2019年6月期末時点の稼働率は前期末(98.5%)を上回る99.4%となりました。総賃貸可能面積は354,878.02㎡、テナント数は371となっています。

 MCUBS MidCity投資法人は、「環境憲章」及び「責任不動産投資に係る基本方針」に基づき環境や社会的責任に留意した運用に努めている資産運用会社と、サステナビリティ、特に昨今注目されているESG(環境・社会・ガバナンス)への考え方を共有し、共に取組みを積極的に推進しています。特に環境に関しては、GRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)リアルエステイト評価にて最高位の「Green Star」を3年連続で取得しており、相対評価に基づく「GRESBレーティング」(5段階評価)においても5つ星評価を得ています。また、2018年12月よりMSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数に組み入れられており、ESG格付は「AA」を取得しています。保有物件では2019年6月期末時点で、DBJ Green Building認証を3物件、CASBEE不動産評価認証を3物件、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)評価を5物件、東京都中小低炭素モデルビルへの適合認証を2物件得ています。


グループの力でサスティナビリティに傾倒

 2019年6月期の財務面は、新投資口の発行による資金調達を実施していません。2019年6月期末の発行済投資口の総口数は1,643,125口となっています。 デッドでの調達については、松下IMPビルの譲渡代金の一部を弁済資金とし、2019年3月に6,900百万円を期限前弁済しました。2019年6月期末時点で19の金融機関から107,975百万円の借入れを行っており、投資法人債の発行残高は8,000百万円となっています。LTVは42.2%、長期負債比率は100.0%(1年内返済予定の長期借入金を含みます。)、金利の固定化比率は84.0%(金利スワップ契約による金利の固定化を含みます。)となっています。2019年6月期末時点の格付けについては以下の通りです。
 ・格付投資情報センター(R&I):A(ポジティブ)
 ・㈱日本格付研究所(JCR):AA-(安定的)

 MCUBS MidCity投資法人は産業ファンド投資法人や日本リテールファンド投資法人と同一のスポンサーということでかなり動きに制約が課されているのでとても動きが取りずらそうな印象ですが、スポンサーからJ-REITに対しての「口出し」が多いいと投資家さんのためにはなりませんが、レンダーに対しては安全性が高いという良いアピールになります。LTVは42.2%、DSCRは13.08%と安全性はもともと高いので、今後はサスティナビリティに絡めた戦略に注力していくものと考えられます。