2019年8月30日のさくら総合リート投資法人の投資主総会において以前より締結していました投資法人みらいとの合併共同基本契約について議決権定員数を割り可決されませんでした。
20190902さくら総合リート投資法人合併失敗
 
 前日の2019年8月29日には投資主総会決議等禁止の仮処分申立事件では和解が成立していたため、スターアジア不動産投資法人のスポンサーであるライオンパートナーズ合同会社はさくら総合リート投資法人の買収からは降りるものと考えられていました。

 ところが、2019年8月30日の第3回投資主総会において
 
・さくら不動産投資顧問㈱との資産運用委託契約解約の件→可決

・スターアジア投資顧問㈱との資産運用委託契約締結の件→可決

 が決定してしまいました。これはJ-REITにおける敵対的買収が認められたことでもあり、投資家の方達がさくら総合リート投資法人に対して「NO」を突き付けたということだと思います。

 今回の件についてはさくら総合リート投資法人の投資主であるライオンパートナーズ合同会社(スターアジア不動産投資法人のスポンサーでもある)が積極的に動いていました。対するさくら総合リートはというとスポンサーであるギャラクシー・ジェイリート・ピーティワイ・リミテッド(ガリレオ)は全く姿を見せずJ-REITのスポンサーとしての活動は特に行っておりませんでした。さくら総合リートの投資家の方達はそういったスポンサーが自身の物件を高値で売却するための道具として投資法人を扱っているということに反発したのではないでしょうか。

 私は今でもさくら総合リート投資法人の投資主さん(もちろん旧スポンサー以外)のことを考えると投資法人みらいと合併した方が外部成長においてスピード感を持って行うことができると予想しているため投資法人みらいと合併した方が中長期的には得ではないかと思います。ですが、今後は合併予定のスターアジア不動産投資法人に分配金の上昇を期待するか、さくら総合リートの投資口を売却するかを投資家さんは迫られることになります。

 
2019年6月期の分配金は?

 ここで心配なのはは2019年6月期の分配金を受け取る予定の投資家さんはちゃんと分配金を受け取れるか?ということですが、その点は不透明です。分配金は既に確定しており、J-REITは投資法人スキームで運用されているため分配金の投資主の名簿管理は事務は三井住友信託銀行が行っています。が、基本的に資産運用会社からの指図が無ければ分配金の支払いを自ら行うことはできません。2019年6月期の分配金は利益超過分配金も含んでいないためスターアジア投資顧問㈱が過去の運用を覆し分配金を支払わない又は減額するというような決議を下すとは考え辛いです。

 ですが、ライオンパートナーズ合同会社は取得を断念した物件のデューデリジェンス費用を投資法人の負担としたことを糾弾していたので、分配金を増額してくれるかもしれません。


さくら不動産投資顧問㈱の社員は?

 さくら総合リート投資法人の資産運用会社が交代したことで資産運用の仕事が無くなり無職予備軍になったさくら不動産投資顧問㈱の社員ははどうなるのでしょうか。これはスターアジア不動産投資法人の2019年5月10日開示の「本日付公表の適時開示に関する補足説明資料 2 ~スターアジア不動産投資法人の投資主の皆様に向けた説明資料~」の13ページに「資産運用会社の交代がさくら総合リート投資法人の投資主総会で承認された場合には、さくら不動産投資顧問の従業員の方々に対してスターアジア投資顧問㈱へのご転籍をご提案します」とあることから一部の従業員は転籍する運びになるかと思います。

 これでさくら総合リート投資法人の資産運用会社であるさくら不動産投資顧問㈱はさくら総合リート投資法人の運用が出来なくなりました。当然さくら総合リートの物件管理をしているPM会社は月曜日から混乱をきたすと考えられます。これまでAMと連携してきたリーシング計画や修繕計画はどうなるの?、入居者との原状回復費用の負担割合まだ未決定だけど?、といった状態に陥るのではないでしょうか。
 信託受益権で運用している物件については物件関連費用を支払う支払依頼書や支払指図書についてもどこまでが有効なのか?、など信託銀行も実務面の対応に追われるものと考えられます