2019年6月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20190904J-REIT6.12決算投資法人NOI利回り
20190904J-REIT6.12決算投資法人NOI利回り2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。日本プライムリアルティ投資法人のNOI利回りは狙っているかのごとく4.7%となっています。資産運用会社(AM会社)としてはあくまでもNOI利回りの上昇を狙っていると思うのですが運用物件の入替えを定期的に行っているので築年数も若くなっていますし、取得する物件についても競争力の高い駅近のオフィスビルなので決して悪くは無いのですが結局投資家さんにとっては効率の良い運用で高い分配金を叩き出してくれることを望んでいるのでそういう目線で考えると資産入れ替えの効果はあまり効果が表れていないような気がします。

 反対に日本ビルファンド投資法人やMCUBS MidCity投資法人は物件の入替えの効果が出ているように感じます。じわじわと上昇しています。特にMCUBS MidCity投資法人はスポンサーが他に2つの投資法人を抱えているため身内合併で吸収されるのではないかという話を聞いていましたが、杞憂に終わりそうです。まだ物件も約20棟前後なので買えるチャンスがあれば資産規模の拡大に進んで欲しいと思います。

 また、フロンティア投資法人は減少してしまっています。フロンティア投資法人の場合は物件の取得も慎重に行っうタイプの投資法人なので内部成長が運用のポイントになります。そういった投資法人のNOI利回りが減少しているということは内部成長が上手くいっていないということになります。2018年12月期にには269百万円の資本的支出工事を行っており物件の質は高まっているはずより賃貸事業利益利益を高めていく必要があります。


・当期純利益率
20190904J-REIT6.12決算投資法人当期純利益率推移
20190904J-REIT6.12決算投資法人当期純利益率推移2

 当期純利益率についてはインヴィンシブル投資法人の当期純利益率が突出しています。物件売却により含み益が顕在化したことが理由です。2019年6月期に売却した物件はスペーシア恵比寿(売却益5,633百万円)と、ロイヤルパークスタワー南千住(売却益5,484百万円)です。特にスペーシア恵比寿はインヴィンシブルが運用するレジデンスでは最大レベルの高品質マンションでした。ロイヤルパークスタワー南千住も規模が大きく、これにより旗艦物件はホテルとなりインヴィンシブルは安定性よりも成長性を採ったということが分かります。しかし、レジデンスを完全終了させるつもりは無いようでレジデンスも取得対象として検討しているようです。完全にホテル特化にするにはもう2019年中にレジデンスを全て売却するつもりで動かないと厳しいですね。しかし、昨今の日韓関係の悪化によりホテルの運用はマイナスに作用していると考えられるのでレジデンスを維持していることは正解だと思います。

 韓国人旅行者の減少による客室稼働率の低下は立地にもよりますがリゾートホテルよりもビジネスホテルの方が大きいと思います。沖縄や九州地方の場合はリゾートホテルもビジネスホテルも悪化していると考えられますが、その他の地域ではビジネスホテルの方が厳しいと思います。しかし、反対に中国人旅行者は増えているので上手く中国人旅行者を集客出来ていれば客室稼働率の減少は少ないと思います。

 しかし、フロンティア不動産投資法人の当期純利益率は物件の売却も無いのに減少しています。こちらは日韓関係よりも気候の変化により商業施設自体の集客が上手くいかなかったのではないかと考えられます。ショッピングモールのような場合はアパレル系や飲食系のテナントが集客の目玉となりますがアパレル系の場合は次の季節を先取りし商品を揃えなければならないのでタイミングを逃した場合は取り替えすは難しいです。AM会社は分かっていてもあくまでも商業施設で事業を行うのはテナントなのでテナントの経営について物件の1オーナーに過ぎないため中々口をを挟めないのが悩ましいところです。