エネクス・インフラ投資法人が2019年8月30日に日本格付研究所(JCR)から格付けを取得したと発表しました。
20190912エネクス・インフラ投資法人格付取得
【引用元:エネクス・インフラ投資法人HPより】

 固定価格買取制度(FIT)の見直しが噂される中で「長期発行体格付にA-」を付けてしまうというと
ころがJCRらしいですね。A-はJ-REITに対する評価より少し下のレベルです。現状では出力抑制の可能性もまだ残っている点については全くコメントされておりません。

 発行体:エネクス・インフラ投資法人
 対象:長期発行体格付
 格付:A-
    見通し:安定的

 エネクス・インフラ投資法人は上場時の取得資産は5物件全てが太陽光発電所で、合計パネル出力37.6MW、取得価格合計174.13億円であった。パイプラインは稼働中、建設中および計画中の総計で16物件、247MW にのぼり、中期的には運用資産1,000億円規模を目指している。財務方針は、LTV水準の上限は原則70%だが、当面の間はポートフォリオ規模等を考慮して60%を目途に保守的に運用するとしています。

 JCRは投資法人の格付は、①再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を背景にキャッシュフローが安定していること、②特定の発電所への集中はあるものの、運用資産からのキャッシュフロー創出力が良好で財務運営方針も保守的であること、③スポンサー・グループの信用力が総じて高く、発電所の開発、運営実績が豊富であること、④現状の運用資産は太陽光発電所のみで構成されており、運営面での負担が他の再エネ発電設備と比較して小さいこと、⑤上場時の借入条件が期間17.3年、元金均等返済と、リファイナンスリスクが排除されていること-などに支えられていることを説明しています。

 また、一方で、⑥導管性やFIT制度の恩恵が有期限(20年間)であることにより、長期においてインフラファンド市場の安定性が十分と言えな いこと、⑦FIT価格が低下していく中で、十分な品質と高い採算性の双方を兼ね備えた案件が少なくなるリスクがあること-などが制約要因であることも述べています。

 収益面における安定性についてはFITによる買取期間は運転開始後20年間、また、再エネ発電設備に係る導管性要件は特例措置の適用により20年間(エネクス・インフラ投資法人では2038年11月期まで)が確保されていること、この期間内における現状の運用資産から創出されるキャッシュフローの見通し易さ、安定性は高いとしています。現状の5物件から予想されるキャッシュフローは、借入金の元利払いに対し十分に余裕があるとしています。DSCRはJCRが想定する強いストレスの下でも相応のバッファーがあり、債務償還能力に特段の懸念が見られないことや、今後の資産規模拡大に際しては、新規借入に伴うDSCRへの影響や購入資産にかかるリスク等に注意を払っていく必要があるものの、現状における高い債務償還能力や当面の間はLTV60%を目途とする保守的な運営方針などが財務面の大幅な悪化リスクを緩和していると評価しています。

 運用物件(発電所)については現状の運用資産(5物件)には、①規模上位2物件で全体の87.9%の出力割合を占めていること、②大規模な発電所を中心に、造成工事を減らしつつ土地の形状をいかしたソーラーパネルの敷設を行っていること-などの特徴があることを指摘。これらの特徴に係るリスクや留意点について、JCRは①については、これら2物件で天候不良やその他不測事象等が発生した場合、その影響を受けやすくなる点がデメリットとしてあげられるが、災害リスクに備えて火災保険や利益保険等に加入していること、日射量について厳しい条件を想定した場合でも元利払いに十分なキャッシュフロー創出力を有すること、不測の事態に備えた一定額のリザーブが用意されていること等により重大な悪影響を被るリスクは低減されている。②については、個々のソーラーパネルの向きが一定かつ最適とならないことによる発電量の損失やアレイ間の影による発電量の損失等の悪影響が考えられる。ただし、発電量の予測に際しては、これら影響を考慮に入れた想定PRが採用されており、JCRでは当該想定PRと実績PRが大きく乖離していないことを確認しているとしています。

 また、ポートフォリオ構築方針上は太陽光発電設備以外への投資割合は最大で 50%となっていますが、実際の運用上は、風力等の事業リスクを吸収できるだけの規模に成長してから徐々に組入れる方針であり、ポートフォリオの事業リスクが急激に変容する蓋然性は低いとJCRは考えている。なお、投資法人の今後の収益性や財務内容は、これらパイプラインの中から案件を実際に購入する際の条件に大きく依存する構造にある。現状のパイプラインには好条件のFIT価格の認定を得た発電所が多く、開発コストを吸収した上で相応の収益性を確保することが見込まれるとしています。

 投資法人が、中長期にわたってスポンサー・グループから良質な発電所を適切な価格で購入していくことが実現されるかどうかは、発電所の価値評価の適切性だけでなく、資金調達環境、金利動向など多くの要素に影響されると述べているのものの、「太陽光発電設備以外への投資については実際の運用上は、風力等の事業リスクを吸収できるだけの規模に成長してから徐々に組入れる方針であり、ポートフォリオの事業リスクが急激に変容する蓋然性は低いと考えている」というように大分希望的に観測してしまっています。

 また、インフラファンド各社が一斉にプレスリリースを出したFITの見直しに関する予想を全く検討していないという点は問題だと感じます。ただの債券格付けではなく長期発行体格付ですからね。インフラファンドの得る賃料は発電所が①効率よく発電できること、②安定した価格で売電できることの2点に大きく依存する訳で、インフラファンドやその資産運会社(AM会社)にできることは①効率よく発電できることのみです。②安定した価格で売電できることは売電先の体制に依存することになるのでより大きな範囲で業界を分析する必要があると思います。個人的には2019年9月時点ではインフラファンドは投資商品としてはリスクが高いと考えています。