2019年9月12日にスターアジア不動産投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり3,500円のところ3,625円で着地しました。

リーシングエージェント使用は吉か凶か
20190921スターアジア不動産投資法人NOI推移

 2019年7月期のスターアジア不動産投資法人はスポンサーであるライオンパートナーズのさくら総合リート投資法人と合併させようとする動きに足を採られていたためか、特に運用面については触れられておらず物件ごとの特性を勘案したリーシング戦略に基づき、リーシングエージェントと協働したリーシング活動に注力しましたという控えめ?な説明になっています。2019年7月期末における運用資産(取得価格の合計102,374百万円)の稼働率は97.6%となっています。

 2019年2月1日にはアミューズメントメディア学院新館(オフィスビル)を取得(取得価格1,020百万円)しました。また同日に運用中であった博多駅東113ビルの持分51%を1,453百万円で売却しました。この博多駅東113ビルは2018年12月3日に既に49%分を売却しているため完全売却となっています。
 上記の運用の結果、投資法人は2019年7月期の実績として営業収益3,785百万円、営業利益2,225百万円、経常利益1,965百万円、当期純利益1,964百万円を計上しました。


短期借入金を上手く利用している点は〇

 財務の方は、2019年7月期も引き続き、財務基盤の安定性向上を図るべく、返済期限の分散、金利変動リスクを低減するための支払金利の固定化を意識した財務運営を行いました。博多駅東113ビル(準共有持分51%)の売却代金及び第6期に係る消費税等還付金を原資とした借入返済を実行するとともに、2019年2月のアミューズメントメディア学院新館の取得資金に充当するため、700百万円を短期借入れにて調達し、2019年4月に、返済期限の到来した長期借入金7,300百万円と合わせて8,000百万円の借換を実行し、同時に金利スワップを設定しました。 上記の結果、2019年7月期末日の借入残高は、51,580百万円となり、LTVは46.8%となりました。

 先日記事にしたケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人もそうですが、マーケット分析では「堅調な傾向が継続していく~」や「今後も底堅く推移していくものと~」という感じに述べていますが、リーシングエージェントを使用しているということはリーシングにかなり苦慮していると考えることが妥当です。それもそのはず、東京都では特に新規のオフィスビルや商業施設、ビジネスホテルの開発が日々行われている中で優良なテナントの取り合いが発生しています。通常J-REITの物件のリーシングはPM会社が窓口となりPM会社やその物件の近隣を縄張りとしている不動産仲介会社がテナントを探します。しかし、それでもテナント候補からの引き合いが無い場合はリーシングエージェントという特定の企業とパイプを持つリーシングを専門とする業者を使用します。この場合注意しなければならない点はPM会社や一般の仲介会社のような成果報酬の形態ではなく3~6ヵ月の期間の固定報酬とプラスで成果報酬を支払うという契約形態が通例だということです。リーシングエージェントを利用しても空室が埋まらない場合はただ費用負担のみが増えてしまうということになりかねません。空室が続いて場合はどのタイミングで解約するのかジャッジが重要になってきます。