2019年9月13日にエスコンジャパンリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,629円のところ2,835円で着地しました。

底地がメインであるため商業施設に拘る理由は無い
20190928エスコンジャパンリート投資法人財務指標

 2019年7月期のエスコンジャパンリート投資法人は底地のテナントとのリレーションの構築、「あすみが丘ブランニューモール」への大手ハンバーガーチェーン店マクドナルドの誘致(底地テナント)等の運用資産の管理と収益向上のための施策を行い、中長期的にわたる安定的な収益の確保に努めました。2019年7月期末時点の運用資産25物件の稼働率は99.7%となっています。

  2019年2月13日に商業施設を中心に22棟の物件取得(取得価格合計31,016百万円)を行いJ-REITとしてのスタートラインにたったばかりという状態です。しかし、残念ながら商業施設のほとんどが底地という有様です。建物の保有よりも底地の保有の方が震災に関するリスクや築年数による競争力不足などの影響は排除することが可能ですが底地は一般的に賃料増額が出来ないので内部成長が期待出来ないというデメリットも存在します。商業施設はテナントの収益に合わせた変動賃料と定額の固定賃料を組み合わせることで安定性とインセンティブの両立を図ることができるという点が最大のメリットです。エスコンジャパンリートの場合はその商業施設の良いところ生かしていないという点が残念ですね。

 分配金の安定性を図るのではあればレジデンス系J-REITの中から割安な銘柄をチョイスすれば良いことですし、商業施設の変動賃料による分配金のアップサイドの魅力を感じるのではあればケネディクス商業リート投資法人等を買った方が良いと思います。2019年7月期の業績は、営業収益1,434百万円、営業利益987百万円、経常利益672百万円、当期純利 益671百万円となりました。


DSCRはまだ高いが今は今は資産規模の拡大が必要

 2019年7月期の財務面の動きですが、2019年2月13日の商業施設22物件の取得に際し、2019年2月12日を払込期日として、公募による新投資口の発行を行い、18,319百万円の資金を調達しました。これにより、2019年7月期末時点の出資総額は22,941百万円、発行済投資口の総口数は237,000口となりました。併せて、2019年2月13日に20,171百万円の新規借入れ並びに既存借入金6,000百万円の期限前弁済及び既存投資法人債300百万円の買入消却を実行しました。

 また、2019年6月28日に、消費税の還付金を含む自己資金を原資に、借入金351百万円の期限前弁済を実行しました。 投資法人の2019年7月期末時点の有利子負債残高は19,820百万円であり、LTVは43.7%となっています。LTVはJ-REIT全体の中では平均よりも0.5~1%程度低めといった感じで資金調達余力はとしては十分だと思います。

 2019年2月13日に上場したばかりなのでまずは安全性よりも資産規模を拡大し分配金の上昇を図っていくことが必要です。特に物件は大分福岡県春日市に偏ったより関東エリアでは千葉県に3棟保有しているのみ(そのうち1つは底地ですが)なので東京都内の物件を狙ってみるのも有りだと思います。いずれにしろこのまま底地特化で考えているならば分配金は外部成長で物件を取得していくのみでしか分配金は増えない(賃貸事業費用も固都税のみなのでコスト削減もできない)ので早急な成長が必要だと思います。