2019年7月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20191004J-REITNOI利回り推移
20191004J-REITNOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。7月決算の投資法人についてのNOI利回りについては概ね良好だったようです。イオンリート投資法人は大きく上昇しており、客足についても良好であったことが分かります。(エスコンジャパンリート投資法人については建物は商業施設ですが底地の取得であるため対象外)また、日本ロジスティクス投資法人、三井不動産ロジスティクス投資法人、伊藤忠ADロジスティクス投資法人と3つの物流施設系J-REITについても上昇基調にあることから産業全体が好調であったことが分かります。唯一産業ファンド投資法人は若干下げていますが、もともとマルチテナント型の物流施設も多いためテナントの退去も影響していると思われますが影響は限定的だと感じます。2019年9月12日のカーゴニュースによると日本ロジスティクスシステム協会が発表した2018年度の物流システム機器生産出荷統計によると、2018年度の総売上金額は5858億7000万円となり、2017年度比で26.6%増と大幅な伸びを示しており、統計開始以来、初の5000億円超え実績を大きく上昇しています。統計では「深刻化する労働力不足への対応として、省力化・自動化に向けた動きは今後ますます加速する」としていますが、労働力不足は懸念材料となりますが、テナントである物流施設のテナント自体の収益は好調なのではないでしょうか。
 アドバンス・レジデンス投資法人、コンフォリアレジデンシャル投資法人、サムティレジデンス投資法人のレジデンス系J-REITについても多少の変動はあるものの良好です。アパート・マンションのようなレジデンスの場合、2、3月が一番入退去が多い時期であるためそれ以降は稼働率が低下していくため必然的にNOIも減少していくものなのですが3月以降も上手く稼働率をコントロールしていることからNOI利回りも安定しているということが言えると思います。


・当期純利益率
20191004J-REIT当期純利益率推移
20191004J-REIT当期純利益率推移2

 当期純利益率についてですが、7月期決算の投資法人も物件の売却を積極的に実施した投資法人が多かった印象です。東急リアル・エステート投資法人はスポンサーとの間で物件の交換を行いカレイド渋谷宮益坂の譲渡により39百万円の交換差益を計上しました。産業ファンド投資法人は470百万円、コンフォリア・レジデンシャル投資法人は168百万円、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は406百万円の売却益を計上しています。どの投資法人についても含み損を発生させての売却ではないため不動産マーケット環境も先月に引き続き良好であったことが伺えます。さくら総合リート投資法人との合併を控えたスターアジア不動産投資法人については減少傾向にあるとはいえ当期純利益率が51.9%と高い水準で推移しています。オフィスビルが主力ではあるのですが賃貸事業費用の管理については随分コントロールに気を使っていることが伺えます。反対に賃貸事業費用の管理が上手くいっていないと考えられるのが東急リアル・エステート投資法人です。スポンサーも強力であるため物件の立地や建物の構造、賃貸面積についても特に問題は見当たらないのですが、NOIまで絞り込んでみると費用負担の割合が高いことに気が付きます。具体的には水道光熱費の負担が大きいです。他の森ヒルズリートの賃貸事業利益が65~66%台、スターアジア不動産投資法人が63~65%台での推移に対し、東急リアル・エステート投資法人は53%~55%の推移となっています。結局それが当期純利益の金額の低さにも表れてしまっています。これは東急リアル・エステート投資法人がここ最近急に始まったことではなく上場時からの流れです。つまりテナントの水道光熱費も合わせた賃料負担の割合が低いということにもなるので東急リアル・エステート投資法人の稼働率が総じて高い根拠になっている点でもあります。