2019年7月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20191005J-REIT有利子負債利子率
20191005J-REIT有利子負債利子率2

 1月・7月決算投資法人の有利子負債利子率は前回と同様に低い水準で推移していると言えます。どこの投資法人も金利負担が少ない状況でありしばらくこのままで進んで欲しいところです。ほとんど立ち上げたばかりと言ってよい、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人やエスコンジャパンリート投資法人の有利子負債利子率も低いということからレンダーの中にはJ-REITに貸せば安心だと思っている
先も多いように感じます。低い金利条件で融資を受けられる理由の一つとして格付機関からの格付取得が挙げられますが、またスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱、ムーディーズ・ジャパン㈱といった国際的な格付機関との格付の取り消しが進んでいるところが気になっています。日韓関係の悪化に伴い、評価を下げられる可能性があったため取消しを選択したというところもあると思います。その代わりの格付けが㈱日本格付研究所というところが個人的には納得できないところです。

 ㈱日本格付研究所(JCR)の格付けは日本国内だけで通用する資格なので海外投資家の方達はあまり信用しないと思います。格付取得または維持のためのコストだけならいいんですけどね。それでもレンダーは信用して融資または投資法人債の引受けをしてくれるのだから既存の投資家さん達には良いのかもしれません。

 LTVの高さも比べて見てみるとやはりアドバンス・レジデンス投資法人やコンフォリア・レジデンシャル投資法人のようなレジデンス系J-REITの負担割合が低いことからやはりレンダーのレジデンス好きは変わらない傾向だと考えられます。東急リアル・エステート投資法人は1月・7月決算投資法人の中では唯一1%以上となっています。特に物件について大きな弱点が無いことから資産運用会社もしくは投資法人とスポンサーとの関係においてレンダーが懸念する事項が存在するのではないかと思うので動きは注目していきます。


・LTV(有利子負債比率)
20191005J-REITLTV推移
20191005J-REITLTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で計算しています。1月・7月決算投資法人についてもLTVは全体的に低め(43~45%台)の水準で維持しようとする流れの中にあると思います。新規の伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人については2019年7月期末のLTVは%となっていますが、やはり43~45%台が目標となると思います。三井不動産ロジスティクスパーク投資法人は20%台のLTVですが、ここについては今後もかなり踏み込んだLTV水準で維持していくことになると思います。物流施設は特に賃貸事業利益率が高いアセットであるためLTVも低くすることで高い利回りをアピールする狙いがあると考えられます。この傾向が続くのであれば投資家さんにとってはへポジティブな戦略だと思います。

 2019年9月3日の日経新聞にSBIHDの北尾吉孝社長は3日、「国内外の様々なフィンテックを活用し、地域金融機関と『第4のメガバンク構想』を実現していく」という記事が出ていましたね。SBIの構想によると持ち株会社にSBIが過半を出資し、大手銀行や有力な地方銀行、ベンチャーキャピタルにも出資を募る。SBIは支援先の地銀を対象にシステムなどのインフラや資産運用商品・サービスを提供したり、人材育成を支援したりすることを想定しています。地銀はシステム導入と定期更新に必要なコストが経営を圧迫しておりシステム費を固定費から変動費に変え、高コスト体質を解決できると述べており、SBIグループ、ベンチャー企業、地銀が共同で使えるシステムをクラウド上につくるつもりのようです。既に地銀の何行か打診があるということですが、そもそも銀行で金融商品を買ったらダメというファイナンシャルプランナーや資産運用アドバイザーがたくさんいるなかで資産運用サービスを銀行で行うような人が出てくるのかは正直微妙だと思います。そんなことより地銀はは格付が無くても前例が無くてもJ-REITに融資するという勇気を持って頂きたいですね。