一五不動産情報サービスから物流施設の賃貸マーケットについて発表がありましたのでご紹介します。

東京圏の賃貸マーケット動向
20190601東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

 2019年4月の東京圏の空室率は4.0%となり、前期の3.3%から0.7ポイントの上昇となりました。今期(19年2月~4月)は新規供給が61.0万㎡と高水準になっています、新規需要は47.0万㎡に留まったため、需給バランスはやや緩和しました。具体的にみると、日鉄興和不動産による「LOGIFRONT越谷Ⅰ」、日本GLPによる「GLP流山Ⅲ」および「GLP新座」、センターポイント・ディベロップメント他2社による「CPD松戸Ⅱ」、オリックスによる「松伏ロジスティクスセンター」、シーアールイーによる「ロジスクエア上尾」ほか計12棟が新たに竣工し、うち7棟が満室稼働でした。また、竣工前のリーシングでは、グッドマンジャパンによる「グッドマンビジネスパークステージ4」でBMWグループとの賃貸借契約の締結が発表されました。今後の開発では、シーアールイーによる「狭山日高IC開発計画」および「ロジスクエア三芳」の着工、プロロジスによる「プロロジスパークつくば2」の開発、三菱商事都市開発による「MCUD上尾」の着工、ESRによる「ESR横浜ディストリビューションセンター」および「ESR戸田ディストリビューションセンター」の開発、日本GLPによる「GLP流山プロジェクト」第2フェーズの開発が相次ぎ発表されましたた。そのほか、埼玉県では産業誘導地区として新たに5地区が選定されたことも注目に値する。
 周知の通り、米中摩擦の影響で景況感に陰りがみえ、物流分野では国際航空貨物の動きが鈍くなっています。したがって、戦後最長の好景気による物流ニーズの拡大は、これからはあまり期待できないとしています。他方、昨今の堅調な物流ニーズは、Eコマースの浸透、少子高齢化による人手不足、物流自動化への対応など構造的な要因の影響が大きく、旧来型の倉庫ではニーズの受け皿にはならないと考えられています。したがって、大都市圏の高機能型物流施設に限れば、これからも底堅いニーズが続くと弊社では判断しています。

(2)賃料動向

 2019年4月の東京圏の募集賃料は4,160円/坪で、前期の4,180円/坪から20円/坪(マイナス0.5%)の下落となりました。東京圏の募集賃料は2018年4月の4,300円/坪をピークに緩やかに下落する一方、募集賃料のサンプル数(N)も減っています。特に、募集賃料が高い臨海部でのサンプル数の減少が顕著である。したがって、募集賃料の下落は、賃料単価が低い募集物件が賃貸市場に残っているためと考えられます。


関西圏の賃貸マーケット動向
20190601関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

 2019年4月の関西圏の空室率は5.2%となり、前期の7.1%から1.9ポイントの低下となりました。関西圏の空室率の低下は6四半期連続で、賃貸市況の改善が顕著です。具体的にみると、今期(19年2月~4月)は1棟が新たに竣工し、既存施設では「ロジポート尼崎」の契約率が8割を突破するなど、臨海部の稼働率が上向いていることが需給改善に繋がりました。また、竣工前のリーシングも進んでおり、グッドマンジャパンによる「グッドマン赤松台2」において東部ネットワークとの賃貸借契約の締結が発表されています。
 今後の開発では、日鉄興和不動産による「LOGIFRONT尼崎Ⅰ」の着工、泉北高速鉄道による「北大阪トラックターミナル新1号棟」の着工。関西圏では2019年の新規供給は約35万㎡と昨年の半分以下に留まるため、当面は需給改善が続く見通しです。

(2)賃料動向

 2019年4月の関西圏の募集賃料は3,530円/坪で、前期の3,460円/坪から70円/坪(プラス2.0%)の上昇となっています。関西圏では2016年下半期からの大量供給で、臨海部を中心に需給バランスが悪化し、募集賃料も下落しました。その後は前ページの図表4,5に示す通り、需給改善が顕著で2018年下半期から募集賃料も徐々に上向き、今期は2015年10月以来、3年半ぶりに3,500円/坪を上回りました。