GLP投資法人2019年9月30日にスポンサーSPCと締結していた物件取得の優先交渉権についてその契約期限を延長すると発表しました。

 2019年9月10日に、ブルーロジスティクス3合同会社及びブルーロジスティクス4合同会社に対して「
購入意向表明書」を提出し、ブリッジSPCより表明書記載の優先交渉義務等につき合意を得ました。2019年9月30日付で、ブリッジSPCは優先交渉権の対象のうち2物件の購入を完了しました。本ブリッジSPCは2019年10月1日付で、既存5物件についても購入を完了する予定です。

 GLP投資法人ではスポンサーSPCのことをブリッジSPCと言っていますがこれは同じ意味と捉えて頂いて構いません。両方とも投資法人が物件を取得するまではスポンサーのSPCで保有しておきますという意味あいです。GLP投資法人はスポンサーSPCとの優先交渉権を取得することの効果について以下の通りにとしています。
20191013GLP投資法人優先交渉権の延長

1. GLPグループが開発した2物件(「GLP横浜」及び「GLP新座」)の、Optimal Takeout Arrangement(OTA)への新規組み入れにより、当該優良物件の将来的な取得機会を確保
2. 既存ブリッジSPC保有の既存5物件(「GLP狭山日高I」、「GLP狭山日高II」、「GLP川島」 、「GLP座間」及び「GLP柏II」)もブリッジSPCの保有に再編され、合計7物件に対する優先交渉権を獲得
3. ブリッジスキームの活用により、取得価格の逓減を図り、優先交渉期間中は物件取得のタイミングや取得物件数をコントロール可能
4. ブリッジSPCの再編による優先交渉期限の延長、取得機会柔軟性の向上及び価格逓減スケジュールの短縮化
5. 更なる後継ブリッジSPCで物件を取得することにより、優先交渉期限を延長可能  
6. マーケット動向次第では、優先交渉権を行使しない選択肢も有する  

 GLP投資法人は収益性も安全性の面からも問題がある投資法人でも無いため直接取得できる環境は整っていますがマーケットを鑑みて直接取得までの期間を伸ばしたかったという意図が大きいのではないかと考えられます。合計7物件を段階的に取得するのではなく公募増資にての取得を考えている場合、株式マーケットにも左右されるので余裕を持って決断できるまで引き伸ばしたいという思惑も見えます。別にそれは悪いことでは無いので7物件の取得はポジティブに受け取られると思います。

 反対にマリモ地方創生リート投資法人では2019年10月8日に優先交渉権の辞退を発表しています。こちらもスポンサーからの取得であり、㈱マリモから付与されていたホテルリソル京都河原町三条の売買交渉権を辞退しました。これは日韓関係の悪化による影響によりホテルの客室稼働率が悪いのではないかと推察します。公式ホームページを見てみると和風な造りで京都のイメージと合う良いホテルだと思いますが客室が2階~10階ということでホテルのアセットタイプとしてはビジネスホテルに区分されます。とすると当然ターゲットは中国・韓国人宿泊者となるため今、投資法人でこのタイプのホテルを取得することはリスクであると判断したのではないかと考えられるのです。
20191013ホテルリソル京都河原町三条

 一応プレスリリースには「運営が軌道に乗り、安定した収益及びキャッシュフローの創出が確認された時点以降での本物件の取得を想定していましたが、訪日外国人の増加等によるホテル需要の高まりを背景とした不動産取引価格の高騰や、予想される収支状況等の諸般の状況を総合的に判断した結果、本物件に係る優先的売買交渉権を辞退することとしました。」としています。別にスポンサーから割安な価格で取得することは何ら問題ありません。どこの投資法人も鑑定評価額(時価)よりも割安な価格で取得することは当たり前の話です。マリモ地方創生リートの述べている不動産取引価格の高騰は第三者からの取得であれば当てはまりますが、スポンサーからの取得で「不動産取引価格の高騰」が問題になることは無いはずなのです。

 今回の優先交渉権の辞退はスポンサーの㈱マリモとしてより高い価格で投資法人に売却したいというためではないかと考えられます。㈱マリモは投資法人とは逆に高く物件を売りつけたいはずでそれには鑑定評価額(時価)が高いということは売却価格が高いということを相手に一番理解させやすい方法です。その鑑定評価額が客室稼働率の低下により減少しているとしたらスポンサーとしては「面白くない」という訳です。

 今日はGLP投資法人は取得タイミングを見計らって公募増資を図りたいため優先交渉権の延長とマリモ地方創生リート投資法人のスポンサーから高値で物件を取得したいがために一旦優先交渉権を辞退するという2つのパターンの見てみました。同じようなプレスリリースでも投資法人によって考えていることが違うということがよく分かります。私はJ-REITの銘柄選びについて物件の質や分配金の大小も確かに大事ですがスポンサーも含めた資産運用会社の個性で選んで欲しいと思っています。