2019年11月18日に森トラスト総合リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,660円のところ3,709円で着地しました。

外部成長スピードは遅いが分配金は上昇
20191126森トラスト総合リート投資法人1口当たりNAV推移

 2019年9月期において外部成長はありませんでした。2019年9月期末における投資法人の保有不動産は15物件、帳簿価額の総額は308,048百万円となり、保有不動産の稼働率は99.9%となりました。業績は、営業収益8,831百万円、営業利益5,341百万円となり、そこから借入金にかかる支払利息等を控除した経常利益は4,897百万円、当期純利益は4,898百万円となりました。

 森トラスト総合リート投資法人のの投資戦略は、投資不動産の用途にかかわらず、「東京都心部」を中心に資産総額の60~80%を目途に投資を行うことを前提としています。また、「その他」の地域に立地する投資不動産であっても、例えば、交通結節点等の利便性が良いオフィス集積度の高い地域に立地しているオフィスビルや、商圏内で高い競争力を有する優良商業施設等については、投資を行うとしています。ですが、今の段階でこのような優良な物件が出てくるかというと難しいですね。スポンサーのために無理に外部成長しようとする投資法人と比べると森トラスト総合リート投資法人の資産運用会社は非常に良心的といえます。分配金上昇率としては小さいですが個人年金のように安定的な分配金が欲しい方には、中長期に渡り運用姿勢が変わらない森トラスト総合リート投資法人は信頼できる銘柄と言えると思います。


三菱UFJ銀行と何気に相性が良い

 財務戦略としては金融環境の変化によるマイナスの影響を抑えつつ資金調達コストの低減を図ることを念頭に、借入金額、借 入期間及び金利の固定化等について検討し、最適なバランスで調達するよう努めています。2019年9月期においては、期限の到来した既存借入金の返済に充てるため、計17,000百万円の借入を実施しました。これらの結果、有利子負債残高は155,000百万円、うち長期借入金は138,000百万円(1年内返済予定の長期借入金33,000百万円を含む。)、投資法人債は12,000百万円(1年内償還予定の投資法人債4,000百万円を含む。)となっています。なお、LTVは47.2%(前期末47.2%)となっています。また、㈱日本格付研究所(JCR)からAA(格付の見通し:安定的)の長期発行体格付を取得しています。

 森トラスト総合リート投資法人のレンダーポートフォリオは非常にバランスが良いです。メインレンダーはみずほ銀行ですが有利子負債全体から見たシェアは丁度20%。次いで三井住友銀行が17.4%、三菱UFJ銀行16.8%、三井住友信託銀行12.3%と3大メガバンクでバランスを採っています。特に融資へのスピードが極端に遅いことでお馴染みの三菱UFJ銀行から高いシェアで借りる選択をしているというところが興味深いですね。森トラスト総合リート投資法人のように成長スピードが遅い投資法人の場合は焦って物件取得する必要がありませんから財務戦略優先で物件取得まで漕ぎつけることができるのだと思います。また、地震が起こるとすぐ貸しはがしにかかるあおぞら銀行の比率も低く抑えており、かつ新生銀行からの借入れは無いというところも強みとして持っていますね。