2019年9月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20191203J-REIT(3.9月決算)NOI利回り
20191203J-REIT(3.9月決算)NOI利回り2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。9月決算の投資法人についてのNOI利回りについてですが、ジャパンリアルエステイト投資法人、森トラスト総合リート投資法人、ケネディクス商業リート投資法人は前期よりも上昇しています。ジャパンリアルエステイト投資法人は賃料収入という重要なトップラインが上昇しているので賃料増額更新や新規リーシングが上手くいっていると考えられます。長い間負担金額が1,000~1,100百万円台で推移していた修繕費についても2018年8月期以降から900百万円台に減少し2019年9月期は767百万円に減少したということも大きいです。この修繕費負担の減少は森トラスト総合リート投資法人もいえることで大体160百万円程度毎期負担していますが2019年9月期は103百万円と大幅に減少しました。もちろん森トラスト総合リートも賃料収入が上昇しているのでオフィスビルの賃貸環境は良好だったことを物語っていると感じます。

 ケネディクス商業リート投資法人は賃料上昇は前期と比べるとこちらも大きく上昇しています。変動賃料上昇効果も出ていると思いますが、ケネディクス商業リートで好感が持てるのは管理委託費が減少しているという点です。管理委託費には建物管理費やPMフィーが含まれており、これは運用においては固定費です。この固定費の削減は来期以降にも効いてくるので一般企業ではコスト削減の標的になるのですがJ-REITの場合、BMやPMをスポンサー関連会社が受託しているケースも多くスポンサーの収益減少に繋がるため手を出さないのが習慣です。ケネディクス商業リートの場合はAM会社自身がPM業務の大半を担っているということもあり管理委託費削減が上手くいっているのだと推察できます。

 
・当期純利益率
20191203J-REIT(3.9月決算)当期純利益率
20191203J-REIT(3.9月決算)当期純利益率2

 当期純利益率についてですが、9月期決算の投資法人も物件の売却を積極的に実施した投資法人が多く全体的に上昇しています。9月期はグローバル・ワン不動産投資法人が銀座ファーストビルの売却が行われました。何度かこのブログでもお伝えしていますがグローバル・ワン不動産投資法人は質の高い大規模オフィスビルを少数運用していくという少数精鋭スタイルの運用を行っているため1棟の売却自体が取得も売却も収益及び分配金にものすごく影響を与えます。売却益658百万円を計上しているので売却自体は成功と見て良いと思います。オフィスビルでも商業施設でも物件が規模が大きくなると売却候補先は大企業や建替えを念頭においているディベロッパーなどプレーヤーが限られるため競争力が高くても直ぐに売却できる訳ではないんですよね。

 森トラスト総合リート投資法人については物件売却はありませんでしたがもともと利益水準が高いので運用力といった面ではピカイチです。また、日本賃貸住宅投資法人は10物件の売却を行いました。売却損が発生している物件は3棟ありましたが他の7棟の売却益で相殺しています。ですが売却益を抜いても日本賃貸住宅投資法人は当期純利益率もNOIもパッとしないんですよね。具体的に言うと各数値とも落ち込んでいることが原因です。日本賃貸住宅投資法人は日本ヘルスケア投資法人との合併が控えており運用中のシニア物件を時価で取得することになり、「正ののれん」が発生することになります。となると「のれん償却額」が営業外費用として毎期計上されます。これから運用外で負担していく費用が増えるということです。