2019年12月10日に投資法人みらいの決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金1,425円のところ1,536円で着地しました。

憑き物が落ちたようでなによりです
20191216投資法人みらいNOI推移

 2019年10月期の投資法人みらいですが、外部成長については2019年6月21日にMIUMIU神戸を段階的に譲渡することを発表し、6月28日付で準共有持分の29%を第三者へ譲渡しました。既に11月29日には準共有持分の33%の譲渡を完了しており、残り38%を2020年6月30日に譲渡することで完了します。売却益を3期に渡り発生させることで消費税の中間納付によるCFを安定化させる狙いがあると考えられます。

 一方、運用面については主にコスト削減に取り組んでいたようです。資本的支出は258百万円と前期の資本的支出額が462百万円ということで、204百万円の削減となっています。資本的支出は修繕費と違い直接的、損益にインパクトはしませんが、減価償却費を通じて数十年に渡り費用化されていくのでまとまった金額になると利益を圧迫することになるのでコントロールは非常に重要です。前期の資本的支出工事は早速インパクトを与えており、賃貸事業利益率は57.5%となっています。原因はもちろん減価償却費です。

 正直もっと運用面においては取り組みたかったと思いますが、さくら総合リート投資法人との合併に向けたデューデリ作業等の対応で資産運用会社は忙しかったのでないでしょうか。結局、さくら総合リート投資法人はスターアジア不動産投資法人に吸収される流れが濃厚ですが、これは投資法人みらいはポジティブに捉えるべきだと思います。自身の物件取得の失敗における費用を投資法人に負担させるというアホなさくら総合リートの資産運用会社社員を受け入れる必要が無い訳ですから。投資法人みらいはまだ7期目の投資法人です。投資家さんのために立てた当初の戦略を信じてしっかり進んでいって欲しいです。


金利よりもキャッシュフローの安定化に注力

 資金調達の動きですが、新規の取得は行わなかったこともあり新規の資金調達は有りませんでした。
2019年10月末時点の借入金及び投資法人債の残高は74,700百万円(うち、長期借入金73,700百万円、投資法人債1,000百万円)となっています。また、機動的かつ安定的な資金調達の確保と、より一層強固な財務基盤の構築を目指して、借入限度核3,000百万円のコミットメントラインを設定しています。

 投資法人みらいの資金調達は原則として、全て長期化・金利の固定化を行っており、金融環境の変化や金利変動が業績に与える影響が少なくなるように取り組んでいます。

 2020年4月期の話しにはなりますが、オフィスビル1棟、商業施設1棟、学校1棟を取得する予定で、公募増資で76,500口を募集し約4,646百万円する計画を発表しています。3棟の取得価格の総額が9,612百万円であり、オーバアロットメントにより4,100口の引受もあるとはいえ調達額はからすると足りないようですが、上記MIUMIU神戸の譲渡資金を充てるということなので新規借入れは計画させていないようです。3棟の年間賃料は478百万円ということなので2020年4月期の分配金には期待ができそうです。