2019年12月19日に日本再生可能エネルギーインフラ投資法人は格付投資情報センター(R&I)から格付評価を取得したと発表しました。付与された格付けは以下の通りです。
 ・発行体格付:A-(新規)、格付の方向性:安定的

 R&Iが評価した点としては保有する太陽光発電設備はすべてFITが適用されており、これまで発電実績は良好であることに加え、 売電価格は長期間にわたって固定されていることなどから、キャッシュフローの安定性は高いと判定しています。R&Iが査定したところキャッシュフローに基づき、長期間の平均DSCRを求めたところAゾーン相当の良好な水準となったとしています。

20191226日本再生可能エネルギーインフラ投資法人DSCR推移
 決算日ベースでDSCRの推移を見てみると約12~13%台でDSCRは安定的に推移しています。この数値は高いと感じるかもしれませんがインフラファンドの中で最低水準です。タカラレーベン・インフラ投資法人は22%台で推移していますし、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は12%台でしたが直近では15.3%となっています。これはレンダーに与えるスポンサーの信用力が関係していると思われます。

 資産規模は348億円と小さいものの、物件数は多く、最大物件の比率が12%(パネル出力ベース)にとどまるなどインフラファンドの中では分散が進んでいる点にも注目しています。域的にも全国に分散しており、天候不順、 災害、出力抑制の各リスクを低減しているという点も評価しています。
 競合のカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は資産規模は大きいものの自然災害や九州電力等のダメージに足を引っ張られるというか地域分散が裏目に出てしまっています。それにくらべると日本再生可能エネルギーインフラ投資法人の影響は確かに少ないと言えます。

 また、スポンサーのパイプライン物件は豊富にあり、2019年4月時点で合計パネル出力513MWに達する。FIT価格は年々下がっており、さらにFIT制度について抜本的な見直しが議論されているが、既存物件やパイプライン物件の買取価格への影響は原則として無いと予想しており。また、低い買取価格の案件であっても、それに応じたバリュエーションで投資を行えば利回りの確保は可能であると推察しています。
 FIT価格が低下したとしても資産規模を拡大していくことでキャッシュフローのリカバリーは可能ということすね。特にインフラファンドの場合は中古発電所の売買市場は整っているとは言い難く新規物件の取得はスポンサーに頼らざる負えないためスポンサーサイドでたくさん発電所を所有しているということを評価しているようでここは頷けます。

 オペレーターおよびO&M業務については再エネ事業者として実績を有するスポンサーの運営力を活用している一方で、賃借人は倒産隔離されたSPCとしており、賃料の支払い確実性を高めるためSPCでキャッシュリザーブを行い、バックアップO&M業者を選定するなど、スポンサーに依存しないスキームも構築し、運営の安定性を高めていると運用面についても非常に高評価です。

 今後の課題としては総資産有利子負債比率は足元で56%であるが、約定弁済により緩やかに低下する見通しており。現状では借入金が有担保でほとんどが変動金利となっており、金融機関との取引を深耕しながら、無担保化や金利の固定化といった資金調達基盤の強化を進めることを要求しています。個人的には固定金利にすると支払利息金額も大きくなります。現在の環境であれば変動金利であることは投資家さんからすると利息負担も小さいため特に大きな問題では無いと思います。