2020年2月7日に格付投資情報センター(R&I)がオリックス不動産投資法人の格付けを据置くと発表しました。

 オリックス不動産投資法人は首都圏、オフィスを中心に良質なポートフォリオを構築しています。2019年10月時点でのポートフォリオは首都圏の比率が約7割を占めており、用途別では、オフィス53.8%、商業施設16.3%、住宅10.2%、物流施設5.5%、ホテル等14.1%(2019年10月時点)となっています。
 資産規模は6700億円超に達しJ-REIT業界で第6位の大きさで、最大物件の比率は約5%にとどまり、テナント構成も分散が効いていると評価。厳しい不動産取得環境の中でも、スポンサーのパイプラインを活用した物件取得を継続しており、直近でも那覇新都心センタービルを100億円で取得しました。

 全体の稼働率は99%台で推移しており、オフィスは好立地の物件が多いことから、比較的大きな賃料増額が実現しています。住宅も都心の大型マンションが多いため賃料が上昇しており、物流施設は満室稼働で安定的に推移しています。ホテルについては一部で競合施設の影響を受けているものの、安定的な賃料体系を導入しており、投資比率も小さいことから全体への影響は限定的。
 郊外型商業施設は現状大きな問題はないとみられますが、将来的なリスクを見据え、売却によりエクスポージャーを減らしています。

 LTVは2019年8月時点で43.1%と保守的な水準を維持しています。保有物件の含み益は簿価の26.1%まで拡大しています。公募増資の実績は豊富にあり、投資口時価総額は大きく、資本市場へのアクセスは良好と評価しています。資金調達は引き続き順調である。有利子負債の平均残存年数は2019年8月時点で3.9年と長く、ほとんどが固定金利、返済期限は分散しています。コミットメントラインは405億円設定しており、年間返済額をカバーできる水準です。

 格付の方向性は安定的。首都圏、オフィスを中心に良質で分散の効いたポートフォリオを構築しています。収益は安定的に推移し、オフィスや住宅では力強い内部成長が見られます。レバレッジは低く、負債の返済期限は長期に分散され、資金調達基盤は強固であると判断しています、これらの評価により発行体格付けはAA-(安定的)という従来のまま評価は継続という結果になりました。

 R&Iは2019年10月期の決算をベースとして評価しているようですが、発表までに約3ヵ月の期間があり、かなり入念に調べた上で評価しています。また個人的には昨今の逃避マネーによる投資口価格の上昇に評価が左右されていないところR&Iの格付が評価できるところです。