GLP投資法人がスポンサーとの間で六甲の物流施設との優先交渉権を付与されたと発表しています。

GLP投資法人の購入意向表明書の概要

 ①契約締結先:非開示
 ②対象物件:六甲物件(仮称)
 ③優先交渉期限:2022年3月31日まで

 六甲物件(仮称)の優先交渉権の取得は、中長期にわたる安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指して資産の運用を行うとの投資法人の基本方針に基づき、投資法人の安定的な収益を生み出す優良な先進的物流施設の取得機会の確保を企図するものです。
 ブリッジ会社からの取得価格は、ブリッジ会社の物件の保有期間に概ね比例して逓減する金額を想定しています。これにより、GLP投資法人は、優先交渉期限までの期間において、資産運用会社が指定するタイミングで、保有期間に概ね比例して逓減する価格で物件を取得する機会を持つことから、かかる契約形態による物件取得は、柔軟な取得機会の確保と取得価格の逓減の企図につながり、投資法人の利益に資するとしています。
 GLP投資法人は、このような取組み(GLP投資法人においては、「OptimalTakeoutArrangement(OTA)」と称します。)を、優良物件の取得機会を確保するための物件取得におけるブリッジスキームの一つとして位置付けています。資産運用会社は、優先交渉期限までの随時の時期に物件を取得すべく、優先交渉権を行使することが可能ですが、実際に優先交渉権を行使し取得を決定する際には、その時点におけるJ-REIT投資口価格等の市場環境等を勘案した上で行使することを企図し、最終的に優先交渉権を行使しない可能性もあるとしています。優先交渉価格の公表はありません。

 ブリッジ会社とはスポンサーSPCのことですが、そのスポンサーSPCから契約相手先としての開示の承諾が得られていないということが解せないですね。まあスポンサーSPCのエクイティの出してがスポンサーだけでなく、第三者の投資家さんだったり海外の機関投資家だとすると承諾しない場合がありますから彼らの言うブリッジSPCには第三者の投資家が存在するということが分かります。「ブリッジ会社を第三者から優先交渉権を取得」というのはどうかと思いますが・・・。

 また、もう一つ日本リート投資法人も優先交渉権の付与を受けたと発表しています。こちらはスポンサーとの間で直接、購入意向表明書を差し入れています。


日本リート投資法人の購入意向表明書の概要

 ①契約締結先:双日㈱
 ②対象物件:ミューズ両国Ⅱ、マイスターハウス川崎、南堀江アパートメントグランデ、南堀江アパートメントシエロ、南堀江アパートメントリオ、リエス鶴舞
 ③優先交渉価格:4,330百万円
 ④優先交渉期限:2020年10月31日まで

ミューズ両国Ⅱ(東京都墨田区)
20200213ミューズ両国Ⅱ

 ミューズ両国Ⅱは、JR中央・総武線「両国」駅のほかに、都営大江戸線「両国」駅まで徒歩11分、都営新宿線「森下」駅まで11分で複数路線が利用可能な立地に位置します。徒歩圏内にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットなど多くのお店が点在しており、生活利便性は高いです。また、博物館や庭園など下町ならではの情緒あふれるスポットが多くあります。建物について、経年相応の劣化はみられますが、建物の品等及び維持管理の状態は、競合物件と同程度であり、貸室の間取り、仕様等も標準的です。そのため、単身者を中心に安定した需要が期待できると分析。

マイスターハウス川崎(神奈川県川崎市)
20200213マイスターハウス川崎

 マイスターハウス川崎は、JR京浜東北線・東海道本線・南武線「川崎」駅から徒歩約9分、京急本線「京急川崎」駅から徒歩約13分に位置し、都心接近性及び生活利便性が良好です。建物は築約16年を経過した10階建の共同住宅として利用されており、設備はオートロック・浴室乾燥機能・システムキッチン・シャワー付独立洗面台等が装備されています。ワンルームタイプが中心で、ラゾーナ川崎等が立地する川崎駅西口から徒歩圏内の上記専有面積の物件では、対象不動産の賃料水準は 概ね標準的な水準であると思料され、単身者の個人及び社宅利用としての法人契約の賃貸需要を吸引できるものと考えられます。

南堀江アパートメントグランデ(大阪府大阪市西区)
20200213南堀江アパートメントグランデ

 南堀江アパートメントグランデは、大阪メトロ千日前線・阪神なんば線「桜川」駅まで徒歩約4分、大阪メトロ千日前線・長堀鶴見緑地線「西長堀」駅まで徒歩約7分に位置します。交通利便性に恵まれた立地条件を有しおり、周辺には生活利便性も充実しています。大阪府内の主要なオフィス街・繁華街への接近性に概ね優れるため、都市型マンションとしての立地選好性が高い地域です。建物の品等及び維持管理の状況は、競合物件と同程度であり、貸室の間取りや設備・仕様等も同程度です。加えてペットが飼育可能であり、同一需給圏内において概ね平均以上の競争力を有していると考えられます。

南堀江アパートメントシエロ(大阪府大阪市西区)
20200213南堀江アパートメントシエロ

 南堀江アパートメントシエロの立地の特性については上記と同様です。建物の品等及び維持管理の状態は、競合物件と同程度であり、貸室の間取りや設備・仕様等も同程度です。加えてペットが飼育可能であり、同一需給圏内において概ね平均以上の競争力を有しているとしています。

南堀江アパートメントリオ(大阪府大阪市西区)
20200213南堀江アパートメントリオ
 
 南堀江アパートメントリオも南堀江アパートメントグランデと同様の立地環境です。建物の品等及び維持管理の状態は南堀江アパートメントシエロと同様ということでドミナント戦略を展開する予定であることが見て取れます。

リエス鶴舞(愛知県名古屋市昭和区)
20200213リエス鶴舞
20200213リエス鶴舞

 リエス鶴舞は、名古屋市営地下鉄鶴舞線「鶴舞」駅及びJR中央本線「鶴舞」駅から徒歩約8分に位置し、都心接近性が良好であることから、職住近接を重視した単身層やファミリー層からの住宅需要が高い地域です。その中にあって、リエス鶴舞は、中央本線高架線に近く騒音の影響は若干受けるものの、三方で市道に面し日照・通風は良好で、一定の快適性は保たれています。また、生活施設が駅周辺に整っており、居住の利便性は概ね優れています。建物については経年相応の劣化はみられますが、建物の品等及び維持管理の状態は、競合物件と同程度であり、貸室の間取り・仕様等も標準的。そのため、単身者を中心に安定した需要が期待できると分析しています。

 国内の企業がスポンサーである場合は投資法人に売却する物件はSPCに移すか、自身で保有するかのどちらかです。SPCに移す目的はスポンサーの連結決算から外す目的が多いです。また保有期間中はテナントからの賃貸収入を受け取ることができるため連結する方が得です。
 GLP投資法人のように外資系がスポンサーの場合は開発をSPCで行うことが多いです。そのSPCの中で借入れと出資を募りその資金を利用し開発を行います。SPCへの出資を募る際にいくらで投資法人に売却予定であるという前提で投資家募集を行っているでしょうから物流施設の鑑定評価額はある意味出来レースなんですよね。