2019年12月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
6・12月決算投資法人NOI利回り推移
6・12月決算投資法人NOI利回り推移2 (1)

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。これまではホテルや物流施設のNOI利回りが大きい値(5%後半から6%後半)で推移しています。
 6・12月決算のJ-REITでいうとインヴィンシブル投資法人が該当します。2019年まではこのような水準でしたが2020年6月期はこの1月~2月のコロナウイルスの影響で外国人旅行者の動きが落ち込んでいるので低い水準になると思います。ホテル系J-REITでも5%台に登れば良い方だと思います。こうなってくるとオフィスビルやレジデンス特化のJ-REITの方が安定しているという思考になってくると思います。それでも日本政府としては今後も観光業については力を入れていく方針なので投資口価格も回復してくると思いますが、個人投資家さんとしては投資口取得のタイミングは何時かというところが焦点になりそうです。6・12月決算のJ-REITの中では物流系J-REITとしてはCREロジスティクス投資法人が該当しますが、上場するタイミングが遅かったため高い価格で物件を取得してしまっているので収益性自体は悪くないのですが、取得価格が高いため利回りが低下してしまっています。これは数年は固定されてしまと考えられるので、CREロジスティクス投資法人の銘柄でポートフォリオを組むのは効率は悪いですね。
 コロナウイルス関連で日本株やJ-REITが売られてはいますが、鑑定評価額にはまだ影響は表れていないので不動産取引価格は今後も高額で推移していくと考えられるので資産の入れ替えもしばらくは続くことになると思います。


・当期純利益率
6・12月決算投資法人当期純利益率推移
6・12月決算投資法人当期純利益率推移2

 6月・12月決算投資法人の当期純利益率の推移ですが、ジャパンエクセレント投資法人が大きく減少しています。これは、不動産売却損と減損損失の計上によるものです。この時期に減損が生じるような金額で売却を決定したことには疑問が生じますが、最近では物件取得には既に運用している物件の追加取得を行うなどある程度の慎重姿勢で挑んでいるため今後は不動産マーケットが全体として下落している状況でない限りは減損損失を生じさせるような売却は避けてほしいですね。
 もう一つ減少しているのはさくら総合リート投資法人ですが、こちらは今度こそスターアジア投資法人と合併する運びなので特に期待するコメントは無いのですが、一応営業利益率ベースでは上昇しているものの支払利息、融資関連費用を始め他の費用がが増加したことで経常利益率、当期純利益率が減少する結果となっています。また、なぜか物件が増えている訳でもないのに賃貸事業費用の中の信託報酬が増加していることから合併による影響が出る信託からみでの契約書または覚書関連で信託銀行から請求されてしまったのではないかと思います。
 また、前期と比べると大幅に減少したのはインヴィンシブル投資法人です。これは2019年6月期にスペーシア恵比寿とロイヤルパークスタワー南千住という大型の物件を高値で売却できたため売却益が大きかったことから2019年12月期の当期純利益率が大きく減少しているように感じるだけです。こちらは引き続きレジデンスを売却していきホテルの比率を高める方針を継続していくようなので分配金の上昇可能性は高いといえます。