2020年3月17日にヘルスケア &メディカル投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,304円のところ3,320円で着地しました。
尚、利益超過分配金285円が含まれています。

いつまでもニーズが有るでは引っ張れない。小ぶりでも資産規模拡大が必要
20200329ヘルスケア&メディカル投資法人NOI推移

 2020年1月期においては、新たな資産の取得・譲渡は行いませんでした。2020年1月期末時点で35物件を保有しており、総賃貸可能面積182,540.84㎡、稼働率100.0%となっています。
 社会的需要の高まるヘルスケア施設への安定的な投資・保有を通じて、ヘルスケア施設の適切な維持管理及び新たな供給を促進させることで、国民一人ひとりが安心して生き生きと生活できる社会を 実現し、投資法人における安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を引き続き目指すとしています。2020年1月期の業績は営業収益は2,013百万円、営業利益は1,103百万円、経常利益は944百万円、当期純利益は943百万円となりました。
 ヘルスケア施設は社会的な意義も大きいですし、高齢化社会で必要なアセットなので将来性自身は高いです。ただ、他の多くのJ-REITと同じくコロナウイルス対応はダンマリですね。「自身の運用物件ではオペレーターと連携してマスクを配っています。」とか、収益とは関係が無くても対応していることはあるはずでそういったことをプレスリリースで発表するだけでも投資家さんとの信頼関係を築く効果があると思います。


スポンサーのSMBC・日立キャピタルと格付けは低くとも安全性は高い

 ヘルスケア&メディカル投資法人は、中長期的に安定した収益の確保及び資産価値の維持・向上のため、安定的な財務運営を行うことを基本方針としています。2020年1月期においては、2020年1月31日に返済期日が到来した借入金7,700百万円について、5,700百万円の借換え及び2,000百万円の投資法人債発行を実施しました。2020年1月期末時点での出資総額(純額)は32,330百万円、発行済投資口の総口数は311,001口、有利子負債は総額32,450百万円です。 LTVは47.6%となっています。2020年1月期に取得している格付けは以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR):長期発行体格付:A+、見通し:安定的
 
 ヘルスケア&メディカル投資法人はOne不動産リート投資法人のように金融機関がスポンサーについています。メインバンクでもある㈱三井住友銀行とNECキャピタルソリューション㈱です。もちろんこのスポンサーは他のJ-REITは普通に貸付を行っています。(NECキャピタルソリューション㈱は一般の方には馴染みが無いと思いますが、私募ファンドでは割と資金を融通してくれます。メインレンダーというよりもメザニンレンダーという劣後ローンとしてよく登場します。あまり難しいことも言わないのでAMとしては非常にありがたい存在です。)
 ㈱三井住友銀行はいつもでも融資できる体制だと思うのですが、まったく資産規模の拡大ができていないのでここは問題ですね。決算短信や有価証券報告書等でニーズはあるということをよく述べていますし、その認識は間違っていないと思います。他の投資家さんもそう考えている方は多いのではないでしょうか。
 しかし、実際のヘルスケア&メディカル投資法人は全然物件の取得ができていません。実際、仲介会社からもヘルスケア施設の紹介が定期的に入っているので市場に出回っている物件数は少ないものの無いわけではありません。ただ、ヘルスケア&メディカル投資法人の運用中の物件に比べると取得するには規模が小さいというところも資産規模拡大が図れない原因であるのではないかと推察します。