2020年4月23日に森トラスト・ホテルリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,410円のところ3,563円で着地しました。

忙しくないうちに従業員研修を行うのは効率的
20200502森トラスト・ホテルリート投資法人NAV倍率推移

 2019年9月に「ヒルトン小田原リゾート&スパ」(取得価格6,500百万円)を取得し、運用を開始しました。また、保有物件について各ホテルの事業環境や運営状況を月毎に把握した上で、収益向上を図るための協議をホテル側と継続的に行い、2020年2月期の運用実績は安定的に推移しました。なお、運用実績に新型コロナウイルス感染症による影響が生じるのは、次期以降になります。また、資産運用会社は、資産運用業務における環境に対する配慮、社会への貢献及び組織のガバナンス強化といったサステナビリティ(持続可能性)向上への取組みが、中長期的な本投資法人の投資主価値向上に必要不可欠であるという認識のもと、「サステナビリティ方針」を制定し実践しています。2020年2月期は「E:環境」に関して、保有物件の賃借人との間でグリーンリースに関する契約等を締結し、環境パフォーマンス向上に関し協働していくことを合意致しました。「S:社会」に関しては、保有ホテルにおける地域行事参加やテナント満足度調査を実施、「G:ガバナンス」に関しては、従業員向けのコンプライアンス研修実施等の取組みを行っているようです。
 2020年2月期末における、投資法人が保有する物件は5物件であり、取得価格の合計は108,500百万円、客室数の合計は1,469室となっています。業績は、営業収益2,630百万円、営業利益1,892百万円、経常利益1,781百万円、当期純利益1,781百万円となりました。 


LTVやDSCRよりもキャッシュフローに注意
 
 2020年2月期の財務面については、2019年9月に「ヒルトン小田原リゾート&スパ」の取得資金に充当するため、新たに7,000百万円の借入れを行いました。また、返済期限の到来した既存借入金14,500百万円の返済に充当するため、2019年11月 に14,500百万円の借入れを行いました。この結果、2020年2月期末の有利子負債残高は54,500百万円、うち短期借入金は6,500百万円、長期借入金は48,000百万円(1年内返済予定の長期借入金3,000百万円を含む。)となっています。なお、LTVは48.9%となっています。
 コロナウイルスによる緊急事態宣言もあり、ホテルの経営のダメージは大きなものであるはずです。リゾートホテルの場合は地方に位置しているところが多いのでホテル近県の方の宿泊者は存在すると思います。ただ、リゾートホテルはどこも規模が大きいため少数の宿泊者のために営業するよりも休館にした方が経費が削減されて結果として得という場合もあります。森トラスト・ホテルリート投資法人も決算短信の中で「重点投資対象であるインターナショナルブランドホテルやアッパークラスホテルにおいても、旅行や出張が再開されるまでは宿泊者の減少が続き、売上が大幅に減少することが予想されます。」と述べているため当分はホテル系J-REITについては分配金は期待しない方が良いと思います。