インヴィンシブル投資法人が信託受益権の形態で保有する国内ホテル83物件のうち、主要テナントである㈱マイステイズ・ホテル・マネジメント(MHMグループ)が運営する73物件に関して、2020年6月末までの暫定的な措置として、
①MLPM契約における賃料の支払条件を一部変更して固定賃料の支払いを免除するとともに、変動賃料の計算方法を変更し、
②MHMグループが従来負担していた対象物件に係る物件管理費(なお、物件管理費とは、対象物件の建物・設備の保守・点検等に係る費用、修繕費等であり、MHMグループの人件費や営業費等の一般管理費はこれに含まれない。)の負担緩和を図り、投資法人の負担とするとともに、
③MHMグループに対して支払う管理業務受託手数料の金額をホテル営業を継続するために必要な金額として別途合意する金額に引き上げることについて合意するものです。この契約締結について決算説明会などでも質問が出たことからのあえてQ&A方式にしてプレスリリースとして開示したものです。

Q:マイステイズにおける、軽度感染者向けホテル供給や助成金などの対応状況は?

A:軽度感染者受け入れについては、東京都、大阪府に対し候補となるホテルを提示し、大阪府に関しては先方の連絡待ちの状態である。その他、大手企業の海外赴任者帰国時の14日間滞在需要を受け入れている。助成金については、雇用調整助成金、休業補償金、各種奨励金等可能なものは全て申請している。
→私の勤務先の場合、市区町村からホテルオペレーターに対して○○に立地しているホテルを使わせてもらえないか?という打診がありました。そしてオペレーターから資産運用会社に連絡がありました。投資法人(もしくは資産運用会社)が自発的に候補となるホテルを提示するという事例は限りなく低いと思います。
 
Q:マイステイズ運営ホテルで所有者がインヴィンシブル投資法人以外であるホテルの件数と所有者の内訳は。これらの所有者も覚書にある②③を負担するのか。

A:フォートレスのファンドが19件、それ以外の第三者が9件。売上・費用等の規模は不明だが、の措置と同等の負担をしていることを確認している。
→オペレーターに負担させていた物件管理費をマイステイズが運営する物件以外でも負担するつもりなのか?というのが質問者の意図でないかと思います。これはホテルオペレーターも複数社に分散してオペレーターポートフォリオを考えいていく必要があります。インヴィンシブル投資法人の資産運用会社には意思は全く無いと考えられるのでこれは望み薄ですね。
 
Q:今回の措置後のマイステイズの事業継続に関する見通しは。

A:マイステイズは、雇用調整助成金申請等の他、派遣社員の大幅な削減、幹部社員の給与の20%以上削減、広告宣伝費や清掃委託契約条件の大幅な見直しなどを実施中で、更に従業員のスポンサー関連会社への出向・転籍の具体的詳細を検討するなど、思い切ったコストカットに取り組んでいる。その一方で、テレワーク等によるデイユース需要、研修者受け⼊れ需要等の取り込みによる収益増加を図り、両輪で財務体質改善に努めている。
→コストカットをしても肝心の売上が得られなければ企業の存続は時間の問題です。星野リゾート・リート投資法人や森トラスト・ホテルリート投資法人も同様ですがスポンサーがオペレーターである場合、投資法人がスポンサーから受け取る賃料を減額することなんて普通はしません。あそうか。インヴィンシブル投資法人は普通ではないんでしたね。

Q:内部留保活用の判断基準は。

A:プレスリリースにも記載した通り、今は予測不可能な非常事態にあるため、資金を手元に残すことが投資主の利益に資すると判断した。今後については状況に応じて慎重に検討していく。
→各投資法人の財務状態にもよりますが、不景気が来ると予想しているのであれば、資金を手元に置く戦略は最もだと思います。過去にここの投資法人はリーマンショック時に苦労した投資法人でもある訳なので理解できます。でもその前にフォートレス様が逃げると思いますけどね。
 
Q:今回の措置に対するレンダーの反応は。7月にリファイナンスも控えているようだが。

A:丁寧に説明し、議論を重ねた結果、今回の措置なくしては投資法人に甚大な影響を与える結果となることをご理解いただいた。リファイナンスについても対応して頂けると認識している。
→金融機関(レンダー)としてはまだJ-REITに対して反応は柔らかいのでまだ借入金、投資法人債の引き受けは行って貰えると思います。ここでリファイナンスに応じないということになると一気にJ-REIT再編の流れになるのでこの段階ではレンダーは様子見となると思います。
 
Q:変動賃料が生じる分岐点は。

A:2月に発表したRevPAR予想の30%減程度だが、マイステイズは費用削減に取り組んでおり、これよりも下がる可能性はある。
→変動賃料は期待しないでおいた方が良いと思います。7-8月くらいには収益は改善すると思いますが、今後もコロナウイルスと付き合っていかなければならないと考えるとあまり大きな期待はしないほうが良いと感じます。
 
Q:今回の措置は6月までとしているが、7月以降はどうなるか。

A:夏場にかけての状況によるが、現時点では3〜6月の限定措置であり、それ以上の取り決めはしていない。今後の状況を見ながら、マイステイズに対し自助努力を求めていく。
→恐らくインヴィンシブル投資法人としても夏には収益が改善すると予想しているのだと思います。だからせめて支援は短期間にし基本的にはオペレーターの自助努力を求めていきたいのだと思います。
 
Q:賃料免除や手数料引き上げは業界として⼀般的な措置なのか。
 
A:⼀般的かどうかはわからないが、最近のファーストキャビンやWBFの事例等にもあるように、物件所有者の支援がなければオペレーターが危機的状況に陥る可能性は大きいと考えられる。グローバルには運営委託契約が主流で、GOPがマイナスになった場合は、物件所有者が負担するのが通常である。
→3〜6月の限定措置は短いと感じるかもしれませんが、フォートレスは皆様が思うよりずっとケチです。何十という予想パターンを立てさせて時間を稼ぎ先送りにすることは当たり前なので個人的にはたった4ヶ月分でもよく応じたと関心しています。これが第三者オペレーターなら。
 
Q:今回の措置が鑑定評価額に与える影響は。

A:鑑定会社へのヒアリングによると、暫定的な方針として、キャッシュ・フローの見方については、COVID-19による影響は⼀時的なものとして変更しないものの、投資家によるホテル投資に対するリスク認識が高まる事により、キャップ・レートについて調整される可能性があるとの事である。ただし、キャップ・レートに変更があった場合でも、ポートフォリオ全体の鑑定評価に与える影響は大きくはなく、鑑定LTVへの影響も数%程度にとどまると試算している。

→これはインヴィンシブル投資法人の言っていることは正しいと思います。何が正しいかというと鑑定評価会社の意見が私と聞いた意見と同じだから。よくアナリストが「鑑定評価額に与える影響は?」という質問を投げてくるのですが、それは鑑定評価している会社に聞けよ。と個人的にはいつも思っています。それは将来予測の捉え方は鑑定評価会社によっても微妙に違います。今回の場合は簡単に利益が減少するということよりも対象となる物件近辺の取引の状況や、同タイプのアセットの取引状況等の影響の方が大きくなると考えられます。不景気になれば当然鑑定評価額以下での売却が発生するリスクは高くなる訳なので鑑定評価額の高低が直接投資家さんの財産に影響を与える訳では無いと考えます。