7月に入ってから九州地方を中心に集中豪雨により大きなダメージを受けています。しかし、九州を本拠地としている福岡リート投資法人は2020年7月7日に運用状況に影響を及ぼす被害等は確認されておりませんと発表しています。

 また、いちごオフィスリート投資法人も7月6日人的被害、重大な建物被害はない旨を発表しています。今回発表しているのはこの2投資法人のみです。ニュースで見るとかなり酷い浸水状況ばかりが写し出されますが、J-REITが運用する物件についてはダメージが今だ確認されていないということからJ-REITの運用物件の質、物件取得検討における厳しさということがほんの少しでも分かって頂けるのではないでしょうか。

 投資法人単体で見ると運用スタイルや戦略について問題がある投資法人はいくつか存在します。どうししても悪い投資法人ばかりが目立つようですが、多くの投資法人は投資家さんのために非常に多くの物件をバリュエーション、立地、商圏、遵法性etcといった面から投資対象として相応しいかを検討しています。
 
 震災が起きた時にちゃんと投資家さんに開示できる体制を整えているということも特徴だと考えます。特に投資法人の資産運用会社(AM会社)は東京都内に存在します。地方で震災が起きた場合は直接現地を行って確認することもありますが、交通機能がマヒする可能性もあるので自由に動ける訳ではありません。そこでAM会社の代わりに現地の物件を確認してくれるのがPM会社です。

 PM会社は物件の管理をしている訳ですが、賃料の入金確認や未収金の取り立て、新規リーシング活動や原状回復工事等多岐に渡り物件運用をサポートしています。その中には物件が受けたダメージの報告も含まれています。AM会社はPM会社やBM会社と連携し投資法人の物件の運用、報告体制を整備していく必要があります。

 今回は福岡リート投資法人、いちごオフィスリート投資法人だけでしたが、投資家さんに物件情報を開示することはAM会社としても他社よりもディスクロージャー機能が優れているということのアピールにもなると考えています。これは私募ファンドや上場していても通常の一般不動産業には無い透明性だと思っています。

 取り留めのない話になりましたが、被災地においても投資家さんのために働いている方がいるということを知って頂きたいと感じました。